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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

中国新聞が4月末で夕刊を休止 朝刊セットの新媒体「SELECT」で価格維持

メモ

 中国新聞社は5月1日、国内外の動きをより詳しくお伝えする日刊紙「中国新聞SELECT(セレクト)」を創刊し、朝刊と一緒に読者の皆さまにお届けします。なお、長らくご愛読いただいた夕刊は4月30日付をもって休刊します。
 SELECTは朝刊と同じサイズでフルカラー、16ページ。海外、経済の動きを中心に、厳選(SELECT)したニュース、解説記事をビジュアルな紙面に盛り込むとともに、各地の地方紙自慢の企画特集を紹介するページも設けます。
 パズル、囲碁・将棋、中高生向けに学習に役立つページ、さらに広島東洋カープの選手の秘蔵ショットなどの写真特集もあります。1部ずつ異なる情報を印刷するハイブリッド印刷を導入し、ビンゴゲームなども楽しめます。
 SELECTは新たな活字文化を創出します。ホームページ「アルファ」でも読めるようにし、クロスメディア展開の一翼を担います。何とぞご購読ください。
 朝刊とセットで購読いただけます。セット価格は4030円(税込み)。従来通り、朝刊のみのご購読は3093円(税込み)です。
中国新聞 SELECT 5月創刊 | 中国新聞アルファ

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(画像は日テレNEWS24“ブロック紙”で初 中国新聞が夕刊休刊へ」より)
 中国新聞は2月13日、4月末で夕刊の発行を休止し、新たに朝刊と一緒に配達する有料の新媒体「中国新聞SELECT」を5月1日付で創刊することを発表した。発行日は火曜日から日曜日までの週6日で、朝刊休刊日や年末年始などは休刊する。単独で購読することはできず、朝刊とセット購読のみで価格は月額4,030円(税込み)。「SELECT」を購読しない、朝刊のみの場合はこれまでどおり3,093円(税込み)となる。現在の夕刊は全ページカラーの10ページであり、「SELECT」を朝刊とセット購読すると、現在の朝夕刊セットより1日の合計ページ数は6ページ増となり、価格も7円安くなる。

 部数減や販売店の人手不足などを理由に、夕刊を休刊する新聞社が増えている。2000年以降では福島民報福島民友(2000年)、産経新聞東京本社版(2002年)、秋田魁新報(2008年)、南日本新聞琉球新報沖縄タイムス北日本新聞(いずれも2009年)、岩手日報(2010年)、山形新聞(2011年)と全国の地方紙で休刊が相次いでいる。また、朝夕刊完全セット(朝刊単独の購読を認めない)の静岡新聞東奥日報が2011年に土曜夕刊を休止して子ども向け紙面を開始したり、2012年に朝日新聞名古屋本社版が土曜夕刊を休止し、月2回別刷り媒体を日曜朝刊に折り込んだ例もある。

 中国新聞は2015年1月のABC部数で朝刊62万6501部に対し夕刊3万568部と、セット率は5%を切っていた。ここ最近の業界紙では販売店の労務難(人手不足)についての記事が目立っており、朝夕の2回配達するためのコストが重くのしかかっていたのだろう。朝刊と一緒に配達することで、現在の夕刊読者の価格を維持しつつ、配達の効率を上げることが可能になる。

 また、夕刊の休止は編集現場にとっても大きな構造変化をもたらすだろう。これまで朝刊と夕刊は一体の商品であり、朝刊は夕刊を読まれていることを前提に記事が書かれ、連続性を意識した「帳合主義」で紙面が制作されてきた。しかし、他社との販売競争と読者の「もう少し安く」という要望に応えた結果、朝刊読者の何分の1しか夕刊を読んでいない現状ではそれは建前に過ぎない。夕刊に載った記事が朝刊で再掲載されることはごく当たり前のことになっている。完全に別媒体とすることで、日々のニュースは朝刊単独で完結し、これまで夕刊に掲載してきた文化や芸能関係の記事に加え、紙面の都合で載せられなかった記事を盛り込めるようになるのではないだろうか。

 一例として挙げられているのが「各地の地方紙の企画特集」だ。販売エリアが重ならない地方紙は日頃からお互いに記事を交換し合っており、新たな取材人員が必要ないコンテンツとして活用できる*1中国新聞のウェブサイト「アルファ」には「朝刊未掲載記事」というコーナーがあるように、通信社の記事などで紙面では使われていない記事も多い。こういった埋蔵記事の活用や、「カープ写真特集」「ビジュアル紙面」などの企画が新媒体のコンテンツとしてアナウンスされている。部数が3万部とそれほど多くないだけに、逆にいろいろなアイデアを生かせるようにも感じる。

 また、「1部ずつ異なる情報を印刷するハイブリッド印刷機を導入し、ビンゴゲームなども楽しめる」というのは中日新聞が昨年先行導入した可変印刷技術を利用するのだろう。印刷速度の関係で、現状の朝刊紙面にそのまま使うのは難しいが、別媒体にすることで柔軟に利用できるようになる。

[参考]⇒中日スポーツ、新聞紙面でビンゴゲーム実施 可変印刷技術を応用

 ブロック紙で初の夕刊休止というのが大きな衝撃となったが、同時に新しい有料媒体を朝刊とセットで配達するというのは今までになかったパターンだ。セット率が10%前後と低く推移している新聞社*2にとっては、既存の夕刊読者の受け皿と価格維持の手段として、有力な選択肢の一つとなりえるだろう。全国の地方新聞社にとって、大きな注目を集めることは間違いない。

 ただ、朝刊とセットでしか購読できないというのはどうしても広がりが限られてしまう。「SELECT」が新しい媒体として育ち、読者の支持が集まることで、例えば駅やコンビニでも単独で売れるくらいの商品になれば、新聞という商品そのものの新しい展開として未来が拓けるように思う。そういった意味でも期待していきたい。

*1:例えば脱原発報道で有名な東京新聞の「特報面」は中国新聞をはじめ琉球新報高知新聞などの地方紙に転載されている。

*2:信濃毎日、新潟日報、北陸中日、山陽、岐阜など