edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売タブレットを使ってみた(下)コンテンツや実際の使用感

 前回に引き続き、読売タブレットで提供されるコンテンツや実際の使用感などを紹介する。

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付属のクレードルに載せたところ

 ロック画面を解除した直後の画面はこのような感じ。ウィジェットが並ぶ構成となっており、日付や予定、天気予報、防災・防犯に関する暮らしの安全情報、ニュース、レシピ、ユーザーへのお知らせが並んでいる。天気予報と防災・防犯情報は、地域を選択することで自分の好きな場所の情報を受け取れるよう設定できる。

 ユーザーへのお知らせでは、読売の主催・後援の美術展や講演会などの情報や、新着クーポン、プレゼント情報、などが並んでいる。申込書に記入されたIDが端末に登録された状態で届くので、一般的なウェブサービスでよくあるIDとパスワードの入力は不要なのはシニア世代に嬉しい配慮だ。

 「あなたへのお知らせ」には「あなたのまちで」というジャンルがあり、地域の販売店からの身近な生活情報の発信なども想定されているようだ。ただ、現時点ではあまり積極的に活用されてはいない。クーポンについても現時点で4件(よみうりランド割引券、ビックカメラのポイントアップクーポンなど)と手薄な印象だ。

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 ホーム画面を右にスワイプすると、読売タブレット専用のオリジナルコンテンツである「読売デジタル」アプリのページに移る。「食・健康」「旅・趣味」「コラム」「学び」「ビジネス手帳」といったカテゴリに分けられ、それぞれ充実した読み物を閲覧できる。新聞掲載記事の再録も多いが、独自に取材した記事や、記事に動画がついていたりとタブレットの特性を生かした記事もある。

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 もう一画面スワイプすると、「わたしのお気に入り」という画面になる。ここはいわゆるアプリのショートカット集で、富士通が運営するシニア向けコミュニティサイト「らくらくコミュニティ」や、家計簿やお薬手帳のアプリ、医療情報サイトへのショートカット、新聞連載の小説を紙面と同じ縦書きで読めるアプリなどなど、シニア世代をターゲットにしたサービスが並んでいる。将棋やブロック崩しといったゲームもある。ブラウザや地図、カメラや電卓といった便利なアプリを起動することも可能だ。

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 昨年12月のサービス開始時にはまだ用意されていなかったが、今年3月に新たに追加されたアプリが「読売新聞プレミアム紙面ビューアー」だ。こちらは2014年4月からウェブ版で先行して提供されている「読売プレミアム」の紙面ビューアと同じ内容をタブレットのアプリで見ることができる。

[参考]⇒タブレットで読売新聞朝刊が読める!…3月スタート : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

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 端末が横向きの場合は見開きで表示され、縦向きでは片面表示となる。ピンチアウトやダブルタップなどで紙面を拡大できる。日経や朝日のビューアに比べて少し動きが遅く、記事をスクラップする機能などもないが、紙面を読むだけであれば実用上問題はないだろう。読売プレミアムと同じく、東京・大阪・北海道・西部の各版とスポーツ報知のピックアップ面を過去1週間分閲覧できる。

 さらっとみると読売新聞専用に作られたかのような端末だが、実際には端末の「ホーム画面切替機能」を利用し、“きせかえ”のような形で専用端末のように仕上げている。中身は普通のAndroid OSなので、YoutubeGmailといったアプリもインストールされているし、Googleアカウントを取得すればPlayストアからFacebookTwitterなどのアプリをインストールすることも可能だ。

 防水タブレットであることを考慮しても最低月1780円で3年契約というのは若い世代にとっては明らかに割高に感じる。新聞購読と合わせれば6,000円近くなってしまうわけで、完全にターゲットはシニア世代を意識したものだろう。

 もうそろそろインターネットをやってみたいが、回線やプロバイダの契約もないし、家にパソコンもない(あっても古くて使えない)。スマホの画面は小さすぎる。なるべくわかりやすいのが良いということであれば、SIMカードとのセットで契約というのは理想的だ。なにしろ回線やパソコンも不要で、電源を押せばすぐネットに繋がった状況で使える。

 コンテンツについては3月に朝刊紙面ビューアが導入されたことで大きく強化された。オリジナル記事やヘルスケア、電子書籍、レシピもそれぞれ力が入っているが、やはり「タブレットで読み慣れた新聞が読める」ことのわかりやすさに対抗できるコンテンツはない。

 少し残念だったのは、パンフレットなどで大きくPRされていた身近な生活情報が乏しいこと。販売店からの情報発信も少ない。首都圏で5000台という規模では1店あたり30台程度で、媒体としての告知効果もないに等しいため、なかなか本腰を入れて情報発信しようと思わないのだろうが、毎日地域を駆けまわり、地元を知り尽くす販売店であれば、もっともっと身近な地域情報を発信できるのではないだろうか。

 渡辺会長の今年の新年あいさつでは「販売店収入源の多角化が急務」が強く訴えられており、このようなデジタルを活用した情報発信はその助けになりえる。そこに本社と販売店がどれだけ意欲を持って取り組み、地域の人々に役に立つ存在になっていけるかがカギとなるだろう。