LINEがニュース配信機能を外部メディアに開放 開始1週間の累計ユーザー数は530万
無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)は12月1日、新聞社やテレビ局などのメディアがラインの公式アカウントを利用してニュース記事を配信できる「LINEアカウントメディアプラットフォーム」を発表した。第1弾として朝日、毎日、産経などの全国紙、スポーツ紙など24社がニュースの提供を開始。公開翌日には24社の累計購読者数が300万人を突破した。ラインでは「今後、地方紙や専門媒体にも参画を呼びかけていく」としている。
ラインはこれまで、メディアから配信を受けた記事を自社で取捨選択し、アプリ「LINE NEWS」の公式アカウントなどで配信してきた。今回の事業では参画するメディア側が、ラインが用意したニュース配信CMS(コンテンツマネジメントシステム)を通じ、配信記事を取捨したり配列できるのが大きな特徴。記事の内容を自由に編集でき、外部リンクも可能だ。ラインの利用者は各メディアのアカウントを「友だち登録」すると、毎日(または毎週)数回、無料でニュースが届く。
(2015年12月7日付文化通信より)
若者から中高年まで浸透しつつある無料通信アプリLINEにおいて、新聞社や雑誌社、ウェブメディアなどがニュースを配信できる「LINEアカウントメディアプラットフォーム」が12月1日より開始した。アカウントの開設は無料。これにより、各メディアが独自の視点で選んだニュースを、自社の公式アカウントを通じて、国内約5800万人のLINEユーザーに配信できるようになる。累計の購読者数(各アカウントに友だち登録したユーザーの累計)は、開始1日で300万、1週間で500万人に達するなど、即座に多くのユーザーから支持を集めた。
[リリース1]⇒「LINEアカウントメディア プラットフォーム」を発表
[リリース2]⇒【LINE】「LINEアカウントメディア プラットフォーム」、公開後1日でパートナーメディアの累計購読者数が300万人を突破
利用方法は、LINEアプリの「設定」メニュー(画面下部タブの「・・・」)から、「LINE NEWS」を選び、「第1弾ラインナップはこちら」から。または、「友だち追加」ボタンから、「おすすめ公式アカウント」の「すべてを見る」を選び、上部タブの「CATEGORY」から「ニュース」のメニューを選ぶことで今回参加したアカウントの「友だちの追加」ができる。12月28日まで、3つ以上のメディアを友だち追加することで、ドラえもんのスタンプを入手できる特典もある。
[友だち追加]⇒「LINE メディアアカウント」特設ページ ※LINEアプリがインストールされているスマートフォンのみアクセス可能。
配信頻度や時刻はメディアによって異なるが、おおむね1日2回程度、朝と夕方に配信される。配信内容は記事8本で、写真つきの記事が3本、見出しのみが5本というスタイルが基本となっている。見出し部分をタップすると、記事本文はアプリ内で読むかたちとなるが、記事本文下の「外部リンク」から関連記事が貼ることにより、自社サイトへ誘導しページビューにつなげることも可能だ。
開始から1週間の12月8日18時現在の各アカウントの「友だち」の数は以下の表の通りとなっている。旬の料理レシピなどの情報を伝える「クックパッドニュース」が50万9千で1位だが、朝日新聞デジタルが49万4千、毎日新聞が40万3千、産経ニュースが37万7千と新聞社の開設したアカウントも上位に食い込んでいる。スポーツ紙ではニッカンやスポニチを抑えデイリースポーツが20万2千で1位になった。やはり普段とても良く使うLINEのトークの中で、コンパクトにまとめられたニュースを読めることが、少なくないユーザーに便利と思われたのだろう。
■2015年12月8日18時時点の友だち数
媒体名 | 友だち数(購読者数) |
---|---|
朝日新聞デジタル | 494,499 |
毎日新聞 | 403,018 |
産経ニュース | 377,193 |
テレ朝 芸能&ニュース | 407,571 |
時事通信ニュース | 225,558 |
AFPBB NEWS | 145,158 |
BBC NEWS | 192,198 |
スポーツニッポン | 152,099 |
日刊スポーツ | 181,399 |
サンケイスポーツ | 58,655 |
スポーツ報知 | 175,497 |
デイリースポーツ | 202,339 |
ダイヤモンド・オンライン | 118,210 |
ニューズウィーク日本版 | 77,285 |
PRESIDENT | 109,693 |
現代ビジネス | 100,724 |
ORICON STYLE | 246,480 |
TechCrunch Japan | 33,404 |
アスキー | 77,415 |
クックパッドニュース | 509,716 |
Fasionsnap.com | 138,840 |
All About | 173,121 |
NAVER まとめ | 280,596 |
Peachy | 369,682 |
BLOGOS | 63,338 |
合計 | 5,313,688 |
文化通信の元記事によると、12月1日の記者会見では収益モデルについても触れられており、各メディアが配信するニュース内に広告スペースを設け、発生した売上の50%をメディア側に分配するという。すでにLINE自身が手がけている「LINE NEWS」では、記事画面の上部で動画広告が再生されたり、記事と記事の間に自然な形で「PR」と入った記事スタイルの広告が挿入されるなどの広告が表示されており、こういった広告が各メディアのアカウントでも表示されていくのだろう。
なお、記者会見では当初参画のメディア以外にも、今後無料でアカウントを開放する方針で、地方紙や専門媒体にも拡大していく意向も合わせて示された。また、現状では各社が配信する無料記事が提供対象だが、課金システムなどのオプションを提供する可能性についても言及があった。
スマホネイティブ世代にとって必需品であるLINEで直接ニュースを配信できるインパクトは大きい。LINE自身が先行して取り組んだ「LINE NEWS」の友だち登録数はすでに1630万を超えており、LINE国内ユーザーの3割にも達している。これだけのユーザーを確保したことで、外部メディアに開放することの相乗効果を発揮することができると判断したのだろう。
参画メディアにとっては、スマートニュースやグノシーといったキュレーションアプリとは異なり、自社で配信内容や時間をコントロールできることが大きな特徴となる。これまでのニュース配信のように個々の記事を細切れで読まれるのではなく、自社の編集方針を反映したパッケージとして自社記事との接点を増やすことができる点で安心感もあるだろう。スマホ時代の「朝刊・夕刊」としてユーザーにプッシュ通知できるのは大きな魅力だ。
「地方紙や専門媒体にも拡大したい」という意向も注目だ。スマートニュースにあっという間に多くの地方紙チャンネルができたように、今後地方紙の参画も続くだろう。購読数がリアルに表示されるだけに、各社の取り組みが客観的な数字で問われることになりそうだ。