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日経電子版、デジタル単独購読比率55%に 有料会員は約45万

日本経済新聞社は16日、2015年12月の「日本経済新聞」朝刊販売部数(日本ABC協会公査)と16年1月4日時点の「電子版」会員数を公表しました。日本経済新聞では半年ごとに最新の部数、会員数をお知らせしています。

日本経済新聞・電子版購読数合計 318万2315
日本経済新聞朝刊販売部 273万2604
電子版有料会員数 44万9711
うち新聞と併読除く電子版単体 24万7505
無料登録会員を含む電子版会員数 297万3070

(2016年1月17日 日本経済新聞朝刊39面より)

 2012年7月以来、半年ごとにその時点の朝刊購読部数と電子版の会員数を公表する日経が、1月17日朝刊紙面およびウェブサイト(PC版トップページの右メニュー中段)で最新の購読状況を公開した。それによると電子版の有料会員数はほぼ45万で、無料会員を含んだ会員数全体が297万と300万に迫る数字となっている。朝刊部数はゆるやかな減少傾向だが電子版有料会員は着実に増加しており、朝刊部数と電子版有料会員の合計である購読数の数字をキープ。朝刊部数とデジタル版単独を合計した純粋な読者数は297万7千となっている。3年半で朝刊部数は約24万部(8%)のマイナスだが、有料会員・会員総数ともに2倍以上の伸びとなっており、電子版の需要が年を追うごとに増加していることを示している。

 このペースでいけば来年(2017年)初頭には有料会員50万人を突破しそうな勢いだ。昨年11月30日に買収を完了したFTの電子版有料購読数がその時点で50万4千とのことなので、日本語単独のマーケットを対象にした有料ニュースコンテンツとしては驚異的な数字だ。
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 また、紙面との併読(Wプラン)を除く電子版単体の会員数は24万7500で、有料会員に占める割合は55%となった。2012年7月以降の推移をグラフ化すると以下のようになる。2012年7月の45.5%から毎年じわじわ増え、3年半で9.5ポイント上昇した。併読と単独の比率が逆転したのは2014年1月の発表時だが、その後もほぼ同じペースで増加している。少なくとも日経電子版に関しては、紙を必要としないユーザーが多数派になりつつあると言えそうだ。

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 今年1月からは「初割キャンペーン(1/31終了)」として、通常最大1カ月の無料利用期間を最大2カ月の2月末までとし、有料オプションである人事ウオッチ、日経MJビューアー、日経産業新聞ビューアー、日経ビジネスDigitalまで使い放題になる大型プロモーション企画を行っている。また、2014年から始まったPRキャンペーン「田中電子版」も「課長 田中電子版」にバージョンアップし、成長した主人公による活用法をテレビCMやウェブ上でアピールしている。

 また、デジタル単独版が一定の割合で増加し続けているという点も見逃せない。ゴミ出しが不要、オートロックマンションで1Fまで取りに行かなくて良い、いつでもどこでも自分の使いたい端末で見られる、満員電車でも迷惑がかからない…などなど、紙よりも優れた点はいくつもある。さらに、紙面には収容しきれない長文記事も掲載可能だ。そういった長所や利便性が徐々に浸透しつつあるということなのだろう。

 長年紙に馴染んだ読者をむやみに切り捨てるようなことはしないが、その自然減はある程度織り込みつつ、電子版の会員を増やしていくことで有料購読数の規模を維持していくというソフトランディング路線は今のところ順調だ。昨年はエバーノートとの連携人事ウオッチの開始名刺管理アプリEightとの連携など、「読む」だけから「使う」ための新サービスを次々にリリースしたが、今年もどんなサービスを提供して読者の仕事や生活を便利にしてくれるのか、一ユーザーとして期待したい。

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