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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

北日本新聞、webun会員に新サービス「富山大百科事典」

 北日本新聞社は、来年1月に創刊1周年を迎えるウェブ新聞・webun(ウェブン)の新たなサービスとして27日から「富山大百科事典」の電子版を開始する。
 同事典は、北日本新聞が創刊110周年の記念事業として1994年に出版。書籍版は上下2巻で、約1万項目の「ふるさとのデータ」が収録されている。
 北日本新聞社では、今後も事典の改訂作業を継続し、最新の画像や動画も加え、児童・生徒も楽しみながら郷土のことを理解できるビジュアルな電子辞書に進化させていくとしている。
 (2010年12月20日付けジャーナリスト新聞より)

 今年1月に創刊し、2月から原則として新聞購読者限定の会員サイトとなった北日本新聞のウェブサイト「webun」で、27日から新しいサービス「富山大百科事典」が始まった。
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 新サービスとはいえ全くゼロから立ち上げたのではなく、今から16年前の1994年に発行した書籍版の事典に収録された内容を基に、これから新しいコンテンツを追加していくというスタンス。当時110周年記念事業として力を入れて作ったコンテンツを再発掘し、現代に生かしていくという試みだ。多くの内容は1994年当時のままであるが、「渡り鳥」や「公園のイルミネーション」「ブリ漁」といった項目で2010年の新しい写真が追加されていた。
 収録内容は約1万ほどあり、地域の歴史や文化、風習などを網羅した、まさに“富山に関するエンサイクロペディア”と呼ぶにふさわしい内容である。
 また、一部のコンテンツは「特集」としてwebunの紙面イメージのように、書籍をめくるような感覚で読むことができる。「イタイイタイ病」「売薬」「立山連峰」といった項目が並んでいる。すでに書店で入手するのは難しく、富山県内の図書館などに足を運ばなければ見られないページをネットを通して見られるのは非常に便利だ。
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 1月に創刊して以来、個人的にずっと興味を持って追いかけてきた北日本新聞のwebunが、今年最後に興味深い話題を提供してくれた。地方新聞社として調べつくした地域に関する知識を、新聞読者にインターネットというツールを生かして惜しげなく提供していこうという姿勢は非常に共感できる。
 このようにして今年1年ネット上での情報発信の基盤を整えてきた北日本の次のステップとして考えられるのは、やはり地域で暮らす読者の参加ではないだろうか。今、ネットで百科事典といえば誰もが思い浮かべるのはウィキペディア。正確さや中立性に欠けるなどの批判もあるが、多くのユーザーに利用されていることは間違いない。その要素を取り入れ、この富山大百科事典においても新聞社が集めた内容をベースに、読者の知識を組み合わせ編集し続けていくことで、永遠にブラッシュアップされていくのではないだろうかと思う。
 そしてそうなった時こそ、デジタルの時代でも新聞社は地域に生きるにとって必要不可欠な存在になれるのではないだろうか。そんな夢を一瞬垣間見ることができた年の瀬だった。