edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

スムーズな動きとシンプルな構成 読売プレミアムを使ってみた

 5月14日にオープンした読売新聞の読者向けデジタルサービス「読売プレミアム」。スタートから1カ月ほど経ったが、ようやく実際に触ってみることができたので、スマートフォン版のインプレッションをメモ。

まず驚いたのはスマホ版の記事閲覧の体感速度がかなり快適に感じること。次の記事へ移動する際、ページをロードする待つ時間がほとんどなく、極めてスムーズに閲覧できる。バックグラウンドで同じカテゴリの記事を次々に読み込んでいるようで、このあたりかなり使いやすさを工夫しているようだ。
 ただ、グリッドレイアウトを基調にしたページ構成を見た時は、正直なところ「朝日新聞デジタルの真似…?」と思ってしまった。朝日ほど構成に手は掛けていないような印象だが、ウェブ上でもやはりこのような少しでも記事の大小の重み付けができる「紙面らしさ」が出せるデザインを意識したがるのだろうか。
 
 もう一ついいなと思ったのは、紙面に掲載した連載記事のバックナンバーをシンプルな導線でたどっていけること。これまでもYOMIURI ONLINEなどのウェブサイトに連載バックナンバーを掲載していたことはあったのだろうが、大きなウェブサイトになればなるほど「どこにあるのか」がわからなくなるし、サイト上にいつまで記事が残されているか保証がない。「浅く広くいろんなものが読める」ではなく、あえてシンプルな導線で「過去の特集・連載はここにありますよ」と教えてくれるのは、発想の転換としてはいいのではないかと思った。
 とはいえ、全ての連載が掲載されているわけではない。個人的にはニュース速報は他のサイトを見れば十分なので、紙面に載った企画・連載のバックナンバーを原則として全て、将来にわたって閲覧できるようにしてくれると利用価値は高まると思う。連載のタイトルや掲載時期、掲載された面や地域ではもちろんのこと、人気度やジャンル、執筆記者名など様々な切り口で探せるようになるとなお良い。印刷時にはテキストではなく紙面切り抜きの形で出力できれば保存にも便利だろう。
 5月25日にYOMIURI ONLINEに掲載された記事(リンク切れ)によると、2週間弱で会員数1万人を超えたとのことだった。1000万部に比べればやや控えめな数字だが、10月末まで無料期間とはいえ、登録にクレジットカード番号の入力またはドコモかauでの決済登録が必要なことを考えるとそのぐらいの数字が妥当なのかもしれない。全国に6000店以上の販売店がある読売だから、その気になれば関係者だけでも数万は余裕だろう。
 月刊誌FACTAの記事によると、月額157円の料金を販売店の裁量で「無料」にすることも可能との話が紹介されている。読売としてもこれで収益増を積極的に狙っていくつもりではなく、新聞読者へのプレミアム(付加価値)という位置づけなのだろう。立派な仕組みを作り総花的な「媒体」として捉えるのではなく、シンプルな読者サービスであることに徹し、日々の新聞を活用するための単機能な「ツール」として提案がどこまで受け入れられるか注目だ。