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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経新聞電子版「Web刊」が正式発表 3月23日創刊

 22日、日本経済新聞の電子版(愛称は「Web刊」)の正式発表が行われた。1月24日にメモしたFACTAの記事通り、3月創刊で23日から、料金は電子版単体では月4000円、新聞購読者はプラス1000円となっている。登録開始は3月1日から。同時に「日経電子版 広報部」のウェブサイトがオープンし、概要を簡単に伝えている。
日経電子版 広報部|「日本経済新聞 電子版」のサービス・機能・購読料金等を紹介。キャンペーン・イベント情報を公開
 記者発表の会場には大手マスメディアやネットメディアなど、大勢の記者が集まってきたようだ。電子版の概要についてはそれぞれの記事に詳しいので、その中からいくつ気になる部分をピックアップ。

 日本経済新聞本紙の記事全文は、朝刊が午前4時、夕刊は午後3時30分をめどに配信を予定。どちらも過去1週間分の記事が閲覧できる。サイト上では、1面や社説、政治というように掲載面に合わせて記事が掲載されている。また、記事にマウスカーソルを合わせると、ページ右側に表示された、紙面イメージ画像で記事の掲載部分を確認できるという。
 紙面デザインのまま閲覧できるFlashベースで動作する「紙面ビューワー」による閲覧も可能だ。「紙面ビューワー」では、紙面を拡大して表示できるほか、見出しを一覧表示して主要記事に1クリックで移動できる「ななめ読み」機能も用意した。(中略) 
 また、(無料の)登録会員では、有料会員限定記事を毎月20本まで無料で閲覧できる。
日本経済新聞、電子版を3月創刊。購読料は月額1000円から -INTERNET Watch

 本紙とセットなら格安という価格設定の背景には、最大の収益源である本紙の読者をWeb版に流出させたくないという意図がある。「朝は朝刊、通勤時は携帯、会社ではPCで――といった形で、紙とあわせて購読してもらうことで、良さが一段と分かってもらえ、共存関係を作れると確信している。紙は最も重要な柱だが、それに続く柱に育てたい」(中略)
 短期的な収益は追わず、じっくり育てていきたい考え。まずは無料会員50〜100万人、有料会員30万人(日経発行部数の1割)を目指す。「成功するまで5年、10年かかるかもしれないが、今スタートさせないと10年後の成功はないことは確かだ」
日経を丸ごと読める「Web刊」、単体月額4000円で 「良質な情報はタダではない」 - ITmedia ニュース

ただし、電子版の創刊で同社に訪れる大きな変化が、「新聞社が読者の属性を正確に把握できるようになる」という点だ。購読料の支払い方法は、紙媒体と併読の場合であっても、クレジットカード決済のみ。日経本社が、読者から「紙媒体+電子版」の代金をまとめて受け取り、日経が紙媒体の代金を販売点に支払う、という形だ。これまでは、新聞読者の個人情報は販売店が把握しており、新聞社は把握していない。これが様変わりする形で、新聞社と販売店との力関係に変化が訪れるのは確実だ。
日経「電子新聞」月4000円 成功なら他社も追随か (1/2) : J-CASTニュース

 有料会員に対しては、パーソナライズ機能「My日経」も提供する。過去の履歴をもとに関心がありそうな記事を推薦するほか、ユーザーが登録したキーワードを含む記事を自動で収集し表示する。また、過去5年分の新聞記事を月25件まで検索、閲覧できるようにする。ただし超過分は1件あたり175円かかる。
日経新聞、月額1000円からの電子版を創刊--NIKKEI NETを継承 - CNET Japan

 個人的に気になったところはこんな感じ。

  • 「有料会員には全量出す」といっても、あくまで日経本紙の朝夕刊で、日経MJや日経産業、日経ヴェリタスといった他媒体の記事は別っぽい。せっかくお金を出して登録するならMJの記事が読みたかったのだが…
  • 有料会員向けの過去記事検索が過去5年分で月25件までとはかなり絞ったような印象。既存の日経テレコンユーザーに対する影響を考慮したのだろう。超過分が1件あたり175円というのも強気だ。
  • J-CASTに出ていた「たとえ紙とセットの場合でも料金は日経本社がクレジットカード払いで一括して受け取り、販売店に紙の分の代金を支払う」というのはなかなか思い切った戦略。確かにそうしなければ紙とセットなら割安となる料金体系を運用する効率的な方法がないのだろうが、自分が販売店の立場だったらキレると思う。まあ中長期的には「消費者が決める」ことになるのだろうが、短期的には軋轢が出そう。
  • 上に関連して、本気で販売店の協力を得るなら「電子版のプラス契約をとってきたら1件あたり○○円の出血インセンティブを出す」くらいのことは、普及のために当面の間採算度外視でやるだろう。