毎日新聞、参院選全候補者のネット対応状況を一覧 Facebook利用率は8割
毎日新聞のニュースサイト「毎日.jp」の参議院選挙特設コーナーに、全都道府県の選挙区および比例での立候補予定者のネット対応状況が一覧でわかるページを開設した。380名を超す各立候補予定者が開設した「公式サイト」「Facebook」「ツイッター」「ブログ」「YouTube」ののURLにリンクしている。
[該当ページ]⇒2013 参院選 立候補予定者のネット対応一覧 - 毎日jp(毎日新聞)
なんとなく既視感のある表だなあと思ったら、先日取り上げた河北新報の「東北6選挙区の立候補予定者 ネット対応一覧」にそっくりである。調査対象の5つ媒体も同じであるが、380人を超す人数の各アカウントをいちいち調べ、日々メンテナンスしているのはすごい。単純計算で2000件近くの利用状況を調べたことになる。その意気込みと継続性にはただただ感服する。
[河北の先例]⇒河北新報、東北の参院選候補者のネット選挙対応状況を公開 - edgefirstのメモ
例によって、各党候補者の各媒体の利用率をまとめてみた。なお、データは6月28日時点でアップされていたものを集計しており、毎日新聞のページは日々利用状況を更新しているようなので、最新の状況は異なる可能性がある。
政党 | 公式サイト | ツイッター | ブログ | YouTube | |
---|---|---|---|---|---|
自民党 | 95% | 94% | 49% | 60% | 41% |
民主党 | 98% | 95% | 59% | 55% | 59% |
公明党 | 52% | 57% | 52% | 52% | 48% |
共産党 | 48% | 78% | 78% | 92% | 32% |
みんなの党 | 77% | 84% | 74% | 65% | 35% |
日本維新の会 | 89% | 91% | 84% | 62% | 36% |
生活の党 | 100% | 91% | 100% | 55% | 55% |
新党大地 | 67% | 67% | 67% | 50% | 50% |
社民党 | 67% | 67% | 67% | 22% | 22% |
みどりの風 | 88% | 75% | 63% | 75% | 13% |
幸福実現党 | 67% | 100% | 67% | 100% | 33% |
緑の党 | 78% | 89% | 78% | 67% | 11% |
諸派・無所属 | 41% | 71% | 51% | 75% | 30% |
利用者数合計 | 304 | 348 | 268 | 281 | 160 |
全候補者の利用率 | 72% | 83% | 64% | 67% | 38% |
立候補予定者総数:420人(毎日新聞調べ、6月28日現在)
一覧にしてみると一目瞭然だが、立候補予定者の約8割がfacebookのアカウントを持っており、7割強が公式サイトを持っている。群を抜くのは公明党で、facebook・ツイッター・ブログの3点セットの利用率が100%。公式サイトとYouTubeも9割超である。もともと候補者をあまり立てないとはいえ、この徹底ぶりはすさまじい。「ネット選挙解禁は浮動票の取り込みより、組織型の政党こそ重要」という識者の意見があるが、まさにそれを地で行くような結果だ。支持者に自分たちのメッセージを届けるツールとしては、印刷物や電波などの従来メディアに比べ圧倒的に安く、組織の引き締めには有効なのだろう。
[参考]⇒山本一郎氏「ネット選挙解禁で選挙は従来以上の名簿勝負に」 – ガジェット通信
(追記:6/29 12:30)6月28日に立候補予定者が多く追加され、それによって各党別の利用率にも大きく変動が出ることになった。公明党に追加された候補者があまり利用しておらず大きく数値を下げている。一方で自民・民主は95%前後の候補者が公式サイトとfacebookを持ち、維新の会・生活の党の利用率も高くなっている。全候補者の傾向には前回(6/25)のデータと比べ大きな変化はなく、facebookの利用率がトップを占めている。
また、ネット解禁され初めての国政選挙であり、ソーシャルメディア上で可視化されたデータを分析することで見えてくることもあるかもしれない。ツイッターのフォロワー数や発言のリツイート回数、facebookのいいね数といった数値と実際の投票行動の結びつきは、昨今話題のデータジャーナリズムの一つのテーマとなりえるだろう。選挙期間中や選挙後に出てくるであろう分析にも注目だ。
[参考]⇒2013 参院選 ネット選挙 ツイッター分析 - 毎日jp(毎日新聞)
河北と同様に毎日もスマートフォン用に見やすいページを用意していないのは少し残念だが、比例代表まで網羅した一覧には大きな価値がある。毎日のネット選挙報道といえば、2007年の参院選から始めたボートマッチ「えらぼーと」が有名。質問に答えていくと、自分の考え方に近い政党や候補者を簡単に判別できるというインターネット上のツールで、今回もビジュアル面でも工夫を凝らして提供している。このような派手さこそ無いが、全国の候補者のアカウントを地道に確認していく作業を行い、継続的にメンテナンスしている点は「いいね!」したい。
次のステップは、リストを作って利用者に提供するだけではなく、このリストをもとに候補者たちのネット媒体の利用傾向を分析したり、ネット媒体での発言と実際の言動に矛盾はないかを厳しい目でチェックしたりして、考察や批判を利用者に提供していくことがマスメディアの役割になるのではないか。