edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞デジタルの有料読者は2万5千か 「お粗末すぎる」と揶揄される

 朝日新聞の電子新聞「朝日新聞デジタル」が苦境に陥っている。スタートダッシュどころか、8月から有料化した途端に有料読者が激減。人もカネもケチった咎があらわになった。昨年3月、電子新聞を発行した日経新聞幹部は余裕綽々だ。
 「朝日はマーケティングを怠り、日経の物まねで始めた。値段も販売もうちの後追い。オリジナルのアイデアも、朝日の読者層にふさわしいコンテンツもない……」
 新聞発行300万部の日経は、電子新聞の創刊にあたり有料会員7万人弱、無料登録会員約40万人でスタート。それが、今夏には有料会員15万人、無両会員100万人を突破し、読者を確実に増やしている。かたや800万部の朝日は、7月末までの無料サービス期間に3万数千人まで申込者を伸ばしたが、有料化した途端にガタ減り。結局、有料読者2万5千人前後でスタートした。
お粗末すぎる朝日の「電子新聞」:FACTA online

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 月刊誌・FACTAが朝日新聞デジタルが苦境に陥っているとの記事を掲載した。有料化が始まった8月の会員数は2万5千前後と、日経に比べ低調である数字を上げている。6月27日の株主総会で報告された数字は2万8千だったので、決して順調とは言えないことは確かだ。
 理由としては以下の3点を挙げている。

  • 無料のニュースサイト「アサヒコム」について、そこからの広告収入を無視できなかったことや、システムを一本化するために多額の費用がかかることから、朝日新聞デジタルと並存させた。
  • 日経電子版は過去の関連記事を付加したり、記事中のキーワードをクリックすると語句説明がでるなどデジタルならではの機能が充実しているが、朝日にはない。
  • 掲載記事は基本的に紙面と同じもの。電子版のオリジナルコンテンツも日経の「経営者ブログ」のような、朝日の読者に受けそうにない読み物が並ぶ。「ウェブロンザ」のような特色あるコンテンツを生かせていない。

 それに加え、「会社が補助を出すから社員は電子版を購読せよ」と役員が号令した話や、「販売店が電子版の勧誘に行ったら、無料のアサヒコムの方が内容が充実しているのに、なぜお金を払ってデジタルを読まなければならないのか」と販売担当役員が編集部門に内容の充実を求めた話などが社内事情として取り上げられている。
 最近の朝日新聞デジタルでは、見出しに【無料記事】とつけて無料で読める記事もあることをアピールしたり、ツイートボタンやフェイスブックのボタンを付加したりしてソーシャルメディアからの流入を図っている。また、アサヒコムの記事に「続きは朝日新聞デジタルで」という誘導を行い、クリックすると電子版のログインページが出るという流入策も実施している(例1)(例2)。アクセス増のためにいろいろと手を打っていることは確かなようだ。
 朝日新聞デジタルを見ていて思うのは、あまりにも「ニュース」や「読み物」などのコンテンツそのものや、レイアウトといった価値にこだわりすぎていること。「深い取材に基づいたコンテンツや、長い経験と伝統に基づいたニュースの価値判断にはお金を出してくれるはずだ」という思いは非常に強く伝わるが、果たしてそれが読者に受け入れられているかどうかは疑問だ。
 新聞を月々購読するということは、決してニュースや論考、解説などコンテンツのみを読みたいと思っているからではない。テレビ番組表や天気から、人事やおくやみ、身の回りの安全情報といった、自分の日常生活に影響を与えることを知りたいからといった動機も大きいのではないか。
 例えば、朝日新聞社には「朝日ライフラインNEWS」のように、携帯サイト上で郵便番号を入力することで自分の住む地域の防災・安全情報を一覧できるコンテンツや、「アスパラクラブ・プレミアム」のように旅行やスポーツクラブ、宿泊施設の割引を受けられたり、健康・育児・法律などの無料相談を受けられる生活支援サービスがある。
 また、朝日新聞はツイッターを全社的に活用しているが、最近では地方の支局や総局が次々にアカウントを開設し、地域の情報をダイレクトに発信している。身近な情報が日々投稿されており、それぞれの地域に住む人々にとってはフォローして損はない。
 これらは現在、それぞれ独立して運営されているが、こういった様々なサービスを組み合わせ、一人一人のユーザーに最適化された情報パッケージとして日々の生活を総合的に支援するような存在になっていけば、読者にも受け入れられていくのではないだろうか。