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西日本新聞メディアラボのキュレーションメディア「piQ」 旬の話題を地元ブログ等から収集

piQとは西日本新聞グループの西日本新聞メディアラボが提供する、九州情報のキュレーションメディアです。
西日本新聞グループが発行する様々なメディアに加えて、九州で発行されているフリーペーパーやWEBメディアを広くキュレーションし、「九州の今」を全国のユーザーにお届けすると同時に、九州のメディア様を広く全国に紹介することを目指しています。
piQとは - piQ(ピック)

 西日本新聞のグループ企業で、デジタル事業全般の業務を担当している西日本新聞メディアラボは今年4月1日から、九州の『今』をキュレーションするメディア「piQ(ピック)」の運営を開始した。

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 キュレーションとは収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有すること。piQに掲載される記事は、九州に密着したウェブメディアを「コンテンツパートナー」として認定し、パートナーが自分のメディアに掲載した記事の中から、西日本新聞メディアラボ内の編集部がピックアップする。ピックアップされた記事は編集部の方で「週末何しよ」「福岡移住」「子育て」「島へ行こう」といったタグが付与され、複数のメディアの記事をテーマ別に閲覧できる。また、新着記事の見出しは西日本新聞のニュースサイトのトップページ下部にも掲載され、ニュースだけでなく地域の生活情報も盛り込むことで、九州のポータルサイトのコンテンツの多様性を広げている。

 コンテンツパートナーはオープン時は17でスタートし、現在(9/8時点)では35まで増加している。新聞・フリーペーパー・有料雑誌・企業オウンドメディア・個人ブログまで様々だが、単なる個人の日記や感想、企業のPRではなく、福岡をはじめとする九州の魅力をきちんと発信している媒体が選ばれているようだ。各地の麺を食べ歩くブロガー珍スポットやトリビアを紹介する街歩きの達人といった個人ブロガーから、福岡への移住を促進する団体福岡のITイベントの話題やベンチャー企業ニュースを伝えるウェブメディアなど、バラエティに富んだ媒体が集まっている。

 SNSスマホ時代に合った地域活性化の手段として、地方新聞社がキュレーションサイトを立ち上げるというのは大変興味深い取り組みだ。サイトのコンセプトやデザインはシンプルであり、全てのコンテンツをゼロから作る必要がないため、他の地方紙でも真似しようと思えば比較的容易だろう。西日本新聞メディアラボが「地方紙が簡単にキュレーションメディアを構築できるパッケージ」としてASPサービスの提供を始めたら面白いかもしれない。

 とはいえ、こういったキュレーションサイトの肝はいかに「質の高いコンテンツ」と「拡散力」を持つパートナーを集められるかにかかっている。piQは福岡在住者だけでなく全国を対象にした記事が多いのも特徴だ。福岡といえば、有名プロブロガー・イケダハヤト氏に「移住するならまず福岡へ行け!」と推奨されたように、大都市圏からのアクセスが良く、移住者を受け入れる環境が整っていることで知られる。情報発信によって人を呼び込もうという意識がすでに浸透しており、独自で尽力しているメディアが育っていた。“キュレーションを通して地域活性化に貢献しよう”というサイト理念に共鳴したからこそ、西日本新聞メディアラボはこれだけの有力コンテンツパートナーを集められたのだろう。

 西日本新聞メディアラボの中の人によると、西日本新聞は本社では出せないスピードで意思決定していくことを狙い、デジタル事業を子会社に移管し要員を出向させているとのこと。西日本新聞本体の仕事だけでなく、九州各地の病院、博物館などの公的機関、さまざまな企業のwebサイトや映像制作を請け負ったり、他サイトとの提携するなど業務を拡大している。先日紹介した「軍艦島アーカイブス」もその一つ。別会社ならではのフットワークの軽さが、こういった生き生きとした取り組みにつながっているように感じた。

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