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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

神戸新聞、スマホARアプリに震災当時の写真提供 街角100カ所の風景重ねる

アプリ

 神戸新聞社は、阪神・淡路大震災の記憶を伝える新たな試みとして、街角でスマートフォンを特定の場所に向けると、その場所の震災当時の写真が表示され、現在の姿と比較できるコンテンツ「阪神・淡路大震災 on Yesterscape」を公開しました。神戸市中心部の三宮・元町周辺約100地点で、震災から20年の復興の歩みを体感することができます。
 実際には存在しないものをスマートフォンの画面に映し出す「AR」(仮想現実)という技術を活用しており、閲覧にはスマートフォンに「Yesterscape」というカメラアプリをインストールする必要があります。
 「Yesterscape」は、撮影した写真を、撮影した場所に保存できる新感覚のスマートフォン向けカメラアプリです。写真を保存した場所でスマホの画面をのぞけば、当時の写真と今の風景を重ねて見ることができます。写真はネットワーク上に保存されているため、多くの人たちで共有することが可能。阪神・淡路大震災の記憶をより多くの人たちに触れてもらうきっかけとして、アプリの仕組みを活用しながら、神戸新聞社が撮影していた震災当時の写真を公開しました。
[プレスリリース]⇒スマホARアプリ活用 街角で震災当時の写真を表示(PDF)

 神戸新聞社は12月1日、阪神・淡路大震災直後の写真と現在の風景を、アプリを通じスマートフォン越しに重ねて表示することができるコンテンツを公開した。神戸市中心部の三宮・元町の周辺約100地点で震災当時の写真を見ることができる。これまでの震災報道で多くの人が目にした有名なポイントはもちろん、場所によっては複数アングルの写真を配置し、震災当時に記者が歩いた雰囲気を伝えることを目指している。

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[紹介ページ]⇒神戸新聞NEXT|阪神・淡路大震災 on Yesterscape

 利用するためには「Yesterscape(イエスタースケープ)」という京都のITベンチャー企業が2013年に開発したアプリをインストールする必要がある。「Yesterscape」は“タイムマシンカメラ”というコンセプトで、「撮影した写真を、その場、その時間に記録できる」という写真ツール。アプリを通して写真を撮ると、GPSや方位・傾きセンサー機能を活用し、撮影した写真に位置座標や時間情報などを付与してクラウドに保存。ユーザーが撮影された場所に行きアプリを起動すると、撮影当時と同じ位置やアングルで表示される。撮影された空間に写真を残すことができるイメージだ。アプリは無料で、現在はiPhoneのみ対応。Android端末向けは開発中とのこと。

[アプリダウンロード]⇒タイムマシンカメラ Yesterscape - iTunes
[アプリ詳細]⇒タイムマシンカメラ Yesterscape公式サイト

 なお、震災直後の風景は実際の場所に行かなければ見ることができない。写真の登録地点は神戸新聞ウェブサイト上に地図上で一覧できるようになっており、持ち歩き用のPDFも用意しているのは親切だ。

神戸新聞NEXT|阪神・淡路大震災 on Yesterscape | 登録地点一覧

 神戸新聞は11月1日に公開した「阪神・淡路大震災デジタルマップ」で、デジタル地図上の400カ所以上の地点で震災直後と2014年の写真を対比して表示できるコンテンツをリリースし、拙ブログでも取り上げた。その際、「スマートフォンでも軽快に動く軽量版があれば、ユーザーが実際に現地に足を運んだときにも使えたのではないか」という感想を持ったが、まさに今回のアプリはその要望に応えたものとなっている*1。担当者が一つ一つの写真を、単に地図上でマッピングするだけでなく、位置やアングルなどアプリ上での表示も確認しながら重ねていったのだろう。地道な作業ではあるが、地域に密着した地方紙ならではの取り組みだ。

 もう一つ興味深かったのは、自社名義のアプリにこだわらず、ベンチャー企業の汎用アプリにコンテンツ提供者として参加していることだ。コンテンツの性質上、この企画で収益は見込めない。自社名義のアプリにした場合、開発・管理コストを吸収するのは難しいだろうし、ユーザーにダウンロードしてもらうのも一苦労だ。「どこが作ったアプリであるか」にこだわるよりも、「震災の記憶を後世に伝える」という自社の遠大なミッションをより多くの人へ伝えていくためにふさわしい方法を検討した上で、最適なアプリを提供している会社と組んだのではないだろうか。

*1:もちろん、11月の時点で準備はしていたのであろう。