読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

神戸新聞、震災直後と現在の対比写真をデジタルマップ上で公開 400カ所以上

ウェブ メモ

6434人が亡くなった阪神・淡路大震災から来年1月17日で20年です。電子版「神戸新聞NEXT(ネクスト)」の震災特集ページに電子版独自のコンテンツが登場しました。

阪神・淡路大震災デジタルマップ〉
http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/map/main.shtml

神戸市や阪神間、淡路島などを対象に、地図上に被害を受けた建物や道路など当時と現在の写真を並べて表示します。
貴重な写真を400組以上アップします。道路をふさぐように倒壊したビルや崩壊した港湾施設。震源地に近い淡路島の旧北淡町(現淡路市)や鉄道網が寸断された阪神間の街の風景もあります。いかに被害が甚大だったのか、そこからどのように復旧・復興したのか。当時と今の写真の間にある歳月が伝わってきます…(中略)

〈1995年生まれ 震災の記憶を求めて〉
http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/age20/

阪神・淡路大震災の年に生まれた世代は来年20歳になります。彼らにとって震災は何を想起させるのでしょうか。被災地を歩き、話を聞き、震災を考える若者の姿を映像でを追います。
4564人の犠牲者が出た神戸市。震災を経験していない市民の割合は4割超で、年々増えています…(中略)

神戸新聞震災アーカイブ - タイムラインの写真 | Facebook

 神戸新聞は11月1日、電子版「神戸新聞NEXT」の阪神・淡路大震災特集ページに新たに「阪神・淡路大震災デジタルマップ」と「1995年生まれ 震災の記憶を求めて」2つの大型コンテンツを追加した。

阪神・淡路大震災デジタルマップ|神戸新聞
20141121163753

20141121163754

 前者はデジタル地図上で神戸市を中心とした地域に赤い点がプロットされ、それぞれを選択すると、1995年1月17日付近の写真と、同じ場所を2014年に撮影した写真を対比して表示することができる。ビルの倒壊や道路が鉄道網の寸断された街や、大規模火災によって荒れ果てた風景が、ここまで整然と再建されたことを実感することができる。

 400カ所以上の地点を対比して見ることができるのは圧巻だ。震災直後の写真は一部提供を受けているが、2014年の写真は全て神戸新聞社が撮影したとのこと。気合の入り方が違うことがわかる。また、被災した地域で暮らす人たちの声もエリアごとに紹介しており、震災当日からがどのような日々であったのか、地域ごとに知ることができる。

1995年生まれ 震災の記憶を求めて|阪神・淡路大震災|神戸新聞
20141121163755

 後者は阪神・淡路大震災の年に生まれ、再建とともに育った若者3人が、被災した人や土地を訪れ、震災の記憶を紡いでいくコンテンツ。仮設住宅の思い出とその後、避難所となった小学校、震災で親を失った遺児の3つストーリーを、一般的なテキストではなく、写真とテキストによって構成されたスライドを1枚1枚めくっていく。実際に被災者にインタビューする場面では、テキストで詳細を読んだり、動画でインタビューの一部を試聴することもできる。最後には取材者の若者が自らの感想を動画で語る。

 神戸新聞は震災20年となる2015年を前に、震災特集ページを今年9月1日に大幅に刷新したが、来年1月17日に向けまだまだコンテンツが準備されていることがアナウンスされていたが、そこに新しいウェブ表現技法を生かした大型コンテンツが追加された。

 阪神・淡路大震災の記憶を引き継いでいくためには、デジタルでも「理(データ)」だけでなく「情(ストーリー)」の要素が多分に必要と判断したのだろう。「震災の記憶を風化させない」というテーマに真正面から取り組み、どのように表現したらもっとも効果が高いかを検討した結果といえる。欲を言えば、デジタルマップはスマホでも快適に動くような軽量版があれば、ユーザーが実際に現地に足を運んだときにも使えたのではないかと思うが…。*1
(2014/12/5追記)12月1日にスマホのARアプリに震災当時の写真を提供することを発表。実際に現地に足を運んだ時に現在の風景と重ねて見えるようになった。
神戸新聞、スマホARアプリに震災当時の写真提供 街角100カ所の風景重ねる - edgefirstのブログ

 もし、自分が新聞社や放送局などマスメディアなどを対象にしたデジタルコンテンツの表彰事業の審査員だったら、地方紙では間違いなくこれを2014年のグランプリ候補に選ぶだろう(全国紙では日経の「人口減少社会」か朝日の「ラストダンス」)。デジタル事業については過去に「明治の読売新聞CD-ROM」や「日本経済新聞電子版」が経営・業務部門で新聞協会賞を受賞したことがあるが、なかなかそれ以外に評価される機会がない。記事ではジャーナリズム関連の様々な賞があり、広告でも様々な広告賞があるように、そろそろデジタルコンテンツについても審査・表彰する機会があっても良いのでないだろうか。

*1:ちなみに推奨環境は「パソコンまたは7インチ以上のタブレット」となっている