edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売新聞、ソチ五輪に合わせCM「あなたの夢は、わたしの夢」制作

読売新聞では、ソチ冬季五輪向けに新しいCMを制作し、期間中の中継番組などで放送します。フィギュアスケートをテーマに、「あなたの夢は、わたしの夢」と題したCM(30秒と60秒の2パターン)は、読売新聞が2002年のアテネ五輪から日本オリンピック委員会(JOC)オフィシャルパートナーを務め、五輪と日本人選手をずっと応援し続けてきたことをPRしています。
読売新聞ソチ五輪CMが完成 : トピックス : 読売新聞へようこそ

 2012年のロンドン・オリンピックに引き続き、日本オリンピック委員会JOC)のオフィシャルパートナーである読売新聞社がオリンピックをモチーフにしたテレビCMを作成し、期間中の中継番組などで放送している。

[前回]⇒読売新聞のオリンピックCM「スポーツにはストーリーがある」が心を打つ - edgefirstのブログ


「あなたの夢は、わたしの夢」60秒 - YouTube

 今回はフィギュアスケート女子がテーマ。テレビ中継を見守る親子、ラーメン屋で働く女性、入院中の女性が、テレビを通して応援していくうちに、その思いが選手に乗り移り、まるで自分が大舞台で演技しているようになっていくという構成。「あなたが夢をかなえれば、私も夢を追いかけられる気がする。あなたの夢は、私の夢につながっているから」というナレーションで視聴者の思いを代弁している。CMの最後にはポストに配達された読売新聞を女の子がフィギュアスケート風に小躍りで取ってくるシーンで終わる。

 制作は前回に引き続き電通のCMプランナー・澤本嘉光氏を起用。ソフトバンクの「白戸家」やトヨタ自動車の「ReBORN」などの有名CMシリーズの制作で知られるが、今年1月公開された映画「ジャッジ!」では脚本を担当し、「世界一のテレビCMを決める世界最大の広告祭」を舞台に広告業界の一面をコミカルに描くなど活躍の場を広げている。ロンドン五輪CM「僕の走れなかった道」編は広告電通賞などを獲得したが、今回も前作同様に「じんわりと心にしみるストーリー」を狙っているとのことだ。

 ロンドン五輪時の「僕の走れなかった道」同様、一つ一つの言葉の重みを丁寧に描き、視聴者を少しずつ引き込んでいく技法は相変わらず見事だ。ただ、前回はスポーツ選手になる夢を「夢」として終わらせてしまった仲間たちの思いを引き継ぐという具体的なエピソードが盛り込まれていたが、今回はそういう演出はなく、なぜ彼女らの夢と私の夢が重なっているのかということが今ひとつ伝わってこなかった。

 CMの中では「そこに立っている人間はいつも一握りで、どんなに手を伸ばしても私には届かない」「でも、あなたが夢を叶えれば、私も夢を追いかけられる気がする」と語られる。もちろん多くの人の心に響き、共感を呼ぶ思いだろう。ただ、保険会社がCMでPRするのと同じ感覚で、メディアがそういう思いを率先して煽ってしまっていいのだろうか。ともすれば大勢の人のこういった思いが、選手たちに過大な期待を負わせ、過剰な責任を抱かせることにもつながらないだろうか。見終わった後、少し考えてしまった。