edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日・読売が共同との契約を一部解除 時事とスポーツ記録処理システム構築

 読売新聞社朝日新聞社は12月12日、一般社団法人共同通信社に対し、外信ニュースとスポーツ記録の受信契約を、来年3月で解除する旨を申し入れた。「第一に経費的な理由」などと説明しているという。15日開催の共同通信理事会で説明があり、共同通信社側は「編集活動を含む通信社業務全般に影響を与えるものではない」としている。(中略)
 今回、両社が契約解除を申し入れたのは、海外スポーツを含む外信ニュースと、プロ野球、Jリーグ、国体・インターハイなどの国内外のスポーツ記録。
 文化通信の問い合わせに対し、朝日広報部は「商況欄の株価データなどは、今後も共同から継続して配信を受ける」と回答、読売新聞社広報部では「個別の契約についてコメントはしない」としている。
 一方、読売東京本社、朝日の両社は13日、時事通信社の協力を得て新たなスポーツ記録処理システムを構築し、来年春をめどに運用を始めると発表した。新システム稼動後、両新聞社は国内外のスポーツ記録について時事を通じて収集し、紙面、ウェブサイトで利用する。新システムは時事に置く。
 対象はプロ野球、Jリーグ、国体、高校総体、大リーグ、欧州サッカー、オリンピックなどの記録。
 朝日広報部によると、両新聞社はコスト削減を目的に、スポーツ記録分野での協業について約2年前から研究してきた。今回、スポーツ記録処理や配信業務で実績のある時事の協力を得て、3社で新システムを構築し、開発費用も3社で負担。システム構築費用を抑えることができたという。
 (2011年12月26日付文化通信より) 

 昨年のネタであるが、業界紙の中では文化通信の記事が一番詳しかったのでメモ。朝日新聞社読売新聞社共同通信との海外ニュースとスポーツ記録のデータ受信契約を今年3月で解約し、同時に時事通信と共同でスポーツデータの処理システムを新しく構築する。
 朝日と読売が時事と連携してデータ配信業務を行う新しい通信社を設立するのでは、というのは結構前から噂になっていたことで([参考]読売・朝日・時事に「第二共同通信」構想? - edgefirstのメモ)、いよいよそれが現実になった。
 このうち、海外ニュースについてはブログ「まつにおまかせ」で触れられている通り、自社内でAP・ロイター・AFPなどの海外通信社の速報ニュースを常時ウォッチする人員を配置できれば、一報が遅れることはそれほどないだろう(国際部門の負担は増えるだろうが)。
 問題はスポーツデータの方で、プロ野球やJリーグをはじめ、国体やインターハイまでの様々な競技を時事通信がカバーできるかどうかはやや疑問が残る。このあたりは三社のお手並み拝見といったところ。
 「第一に経費的な理由」で契約を解除されたことで、当然共同通信は財政的に厳しくなるだろう。2009年9月に毎日新聞社が半世紀ぶりに加盟したことで、各社が支払う分担金も多少軽減されたはずだが、それも元に戻ってしまうかもしれない。
 とはいえ、競合ができるのは決して悪いことばかりではなく、むしろそれによってサービスの質が高まっていく可能性もある。ちょうど同じ日の文化通信に以下のような記事が出ていた。

◆スポーツデータ速報 HTML方式配信機能に着手
 このほか、社業報告として、加盟社の電子新聞向けに、プロ野球、サッカー、大相撲などのスポーツデータ速報を、取り扱いの便利なHTML方式で配信する機能の開発に着手した、との報告があった。
 これまでは、加盟社ごとにパソコンや携帯電話サイトに表示できるように加工しなければならなかった。それを、共同通信でHTMLフォーマットにまで仕上げ、加盟社はそのまま利用できる、というもの。まずPCサイト向けサービスから始め、スマートフォンなどに拡充。来年のロンドン五輪でも、競技成績を提供するよう検討しているという。
(2011年12月26日付文化通信より)

 この件が、今回の一部契約解除と関係があるかどうかはわからない。だが、共同通信(および加盟社)と朝日・読売・時事連合がお互いサービスの質を競うことで、結果的に利用者に対し良いものを提供できるのであれば、意味あることと言えるのではないか。