edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

福島民報、震災報道写真集のiOS/Androidアプリ発売 年内は割引価格で

 福島民報社は12月20日、電子書籍アプリで報道写真集『東日本大震災 50日の記録 ふくしまは負けない』の配信を始めた。同社が電子書籍アプリを配信するのは初めて。震災から50日間の写真の中から210点を掲載しており、定価500円。年内は350円でダウンロードできる。
 同社は、4月20日に報道写真集『M9・0東日本大震災 ふくしまの30日』(A4版148ページ、本体価格1238円)を発行。アプリに収録した写真の多くは、紙の写真集を同じものだが、約1割が新たに加えられた。掲載写真は、同紙記者やカメラマンの撮影を中心に、福島県警、自衛隊、共同通信社、福島県民から提供してもらっている。(中略)
 「英語版」アプリもリリースする予定だが、現在、米アップル社で審査中。12年1月中には配信できる見通しだという。写真キャプションの英訳など、社内外の協力を得て制作した。
 iOS、AndroidOS用アプリで、「Appstore」と「Android Market」でダウンロード、対応のスマートフォン、タブレット端末で閲覧できる。なお、益金の一部は福島民報厚生文化事業団を通じて被災者への義援金とする。
 (2011年12月26日付文化通信より)

 福島県の地元紙・福島民報が12月20日に同社初の電子書籍アプリをリリースした。iPhone/iPad向けとAndroid端末向けを同時にリリースし、定価500円。12月31日までは350円の割引価格となる。
[Appstore]⇒iTunes App Store で見つかる iPhone、iPad、iPod touch 対応 東日本大震災 50日の記録 ふくしまは負けない
[Android Market]⇒東日本大震災 50日の記録 ふくしまは負けない - Android Apps on Google Play
アプリで閲覧できる写真は、4月に刊行された報道写真集『M9・0東日本大震災 ふくしまの30日』を元に、その後の20日分を追加した構成となっている。せっかく震災から9カ月を経たこの時期に出すのであれば、もう少し長い期間の写真を集めてもよかったのではないかと感じるが、これを第1弾として続編を出す計画もあるのかもしれない。
 英語版アプリを出す準備をしているというのは地方新聞社にとっては珍しい試みであるが、AppStoreもAndroid Marketも全世界を対象にしたサービスであり、言語の壁さえ越えることができれば世界中どこにでも手軽に販売できるという強みがある。このあたりがマガストアのような電子書籍ストアに参加するのではなく、単体アプリを出すメリットの一つとも言える。
 福島民報社Facebookページを開設。震災・原発関連の記事を中心に、自社ウェブサイトに掲載した記事にリンクを貼ったり全文が閲覧ができるように日々更新している(基本情報ページには「社の業務としては運営しておりません」という断り書きはあるが…)。そんな中でも12月14日にアップされた「震災から9カ月 県外への避難状況」では、自主避難を含めた県外への避難者6万人の行き先を都道府県単位で一覧。数多くの「いいね!」や「シェア」などの反響があった。
[該当記事]⇒震災から9カ月 県外への避難状況
 電子書籍アプリにしても、Facebook上での情報発信にしても、短期的に収益を見込むことはそれほどできないだろう。しかし、紙媒体による自社発行エリアへの情報発信だけでなく、被災地と内と外を繋いでいく点で、地元の新聞社としてできることを積極的に行っていこうという姿勢は非常に強く感じられる。求められる情報の内容についても、地元向けと県外向けでは多少変えていかなければならない面もある。今後も厳しい状態が続くが、地元新聞社にしかできない情報発信を続けてほしいと思う。