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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売・朝日・時事に「第二共同通信」構想?

 少し前のネタだが、雑誌FACTA10月号に「読売『ナベツネ後継』に異変」という記事が載っていた。記事の概要は、これまで後継者の本命とみられてきた75歳の内山斉社長が、84歳になる渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆の不興を買い遠ざけられているという、いわゆる読売グループ内の「お家騒動」の記事。84歳の後継本命が75歳というのもすごい構図だが、その中に気になる「朝日・読売・時事=築地連合による新通信社構想」が記述されていた。
 記事中は、読売が近年、相次いで地方紙への委託印刷を増やすなど連携を強めていることに触れた後で、次のように続く。

 地方紙との提供強化には、もうひとつ「共同通信外し」の思惑がある。読売は共同から外信記事と一部スポーツデータを配信される契約社で、98年に朝日、毎日とともに値下げを要求したが、拒否された。その後も値下げを要求しているが、共同は代替のないドル箱のスポーツデータ配信を盾に“既得権”を譲らない。
 そこで読売は、時事通信と組んでスポーツデータ配信の「第二共同通信」を設立する構想を検討中だ(本誌の問い合わせに広報はノーコメント)。今秋、読売は東京・大手町の本社を建て替えるため、築地の仮社屋(旧日産本社ビル)に移転する。仮社屋が手狭なため、隣接する時事通信のフロアを借りることも考えていると言われ、それを機に新通信社を置くとの観測も出ている。
 たまたま朝日新聞本社も築地にあり、同じく共同離脱を考えている。そこで朝日を巻き込んで読・朝・時事の「築地連合」ができれば、共同はドル箱を失って経営基盤が大きく揺らぐだろう。共同加盟社の中核を占めるブロック紙、地方紙が「第二共同通信」に雪崩を打つ事態(共同・時事の二大通信社が1社に収斂)も想定され、朝・読が進める地方紙提携という布石が活きることになる。
(FACTA10月号「読売『ナベツネ後継』に異変」)

 実際の地図上で3社の位置関係を見るとわかりやすい。特に時事通信社読売新聞社の仮社屋は道路を挟んで隣接しており、「何かあるのでは」と勘ぐられてもしかたないような気がする。
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 時事通信が来年度(平成24年度)の新卒採用を凍結した際も、読売新聞との経営統合の話が出ていた。まだ状況証拠に過ぎないが、業界再編が水面下で進んでおり、その一端が時折水面に現れてきているように感じる。
 考えてみれば、かつては通信社の仕事と言われてきた速報ニュースを、朝日も読売といった全国紙がウェブや携帯でやるようになって久しい。朝日はKDDIとの協業で始めた「EZニュースEX」では、「テレビのテロップよりも早い」ことをウリにしているし、ヤフーニュースのようなポータルサイトにも産経・毎日・読売といった新聞社が競うように速報記事を配信している。これまでの通信社の役割が相対的に薄れているのではと思えてならない。地方紙が加盟する共同通信社にしても、全国の支局網を維持する必要はどこまであるのだろうか。