edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

ヤフーニュースが今秋から企業発のPR情報を直接掲載…ただし有料で

 企業の経営者や広報担当者は、これまでの広告中心の展開から、戦略的な広報へと方向転換が求められているが、国内最大手のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の主要コンテンツのひとつである「Yahoo! ニュース」でも、企業が消費者に届けたい情報をダイレクトに配信可能な新サービスが、2010年秋にスタートする。
 Yahoo!ニュース内に新設される「Yahoo!ニュース 企業トレンド」は、企業発の情報をニュース、パブリシティ、広告とは異なる企業ニュースと位置付け、配信場所をYahoo!ニュースに設置するサービスだ。これまで企業の情報はプレスリリースという形でWeb媒体に配信され、編集部の判断で記事化された際に初めて消費者の目に触れていた。
 だが、Web媒体では記事として取り上げられなかった情報の中にも、消費者にとっては有用な情報が含まれているケースも少なくない。
 「企業トレンド」は、こうした企業から直接発信される一次情報をニュースとして捉え、直接消費者へ情報配信が可能なコンテンツとしてスタートする予定だ。
2010年秋 Yahoo!ニュースが企業PRに特化した「企業トレンド」をスタート :PRONWEB WATCH

 ヤフージャパンが今秋、ニュースサイト「Yahoo!ニュース」内に「企業トレンド」コーナーを新設し、企業発の情報をニュースとして配信し、広告料を受け取るサービスを開始する。ニュースを掲出したい企業は、既存の新聞やウェブ媒体などのメディアを通さずに、消費者に届けたい情報を掲載したいタイミングで配信可能となる。なお、申し込みはヤフーが契約する代理店経由(主としてPR会社)で出稿を依頼することになる。
 既存のメディアを通さず企業の直接情報発信が可能になるが、代理店業務を行うPR会社の資料によると、ヤフーとしては「単なるプレスリリースではなく、消費者目線の文章と情報の切り口を求めている」ととのこと。今までPR会社がテレビや雑誌、新聞などの媒体に果たしてきた役割を、日本最大のウェブメディアとなったヤフーニュースにも担えるようになったという自信の表れなのだろう。
 最近、ヤフーニュースのメディア編集部長である奥村倫弘氏の「ヤフー・トピックスの作り方」を読んだのだが、後半で最近のジャンクフード・コンテンツの氾濫について苦言を呈す一方、本当にユーザーにとって価値が高い情報であれば、企業発の情報であろうと積極的にヤフーニュースやトピックスとして取り上げていきたいという旨の記述があった。誰もが自由に情報発信ができる時代だからこそ、既存の報道機関に限らず、個人や企業から発信された情報をフラットに扱い、その中で本当に価値ある情報を多くのユーザーに届けていこうという意思なのだろう。
 別の見方をすれば、自らはコンテンツを作らないヤフーだからこそできるビジネスモデルなのかもしれないい。既存のマスメディアの場合、必ず「編集・制作」と「広告」の間のジレンマにどうしても悩むことになる。お金を受け取って掲載している以上、既存の価値観ではそれはどこまでいっても「広告」である。
 ただ、世の中のPR会社が「広告」なものを「編集・制作」の中に浸透させることで成り立っていることも一方の事実。そのグレーな部分を知る企業側からすれば、ヤフーのほうがフェアだと判断されるかもしれない。
 とはいえ、こういう取り組みを進めるヤフーニュース自体の信頼性(ニュースサイトとしての中立性?)をどこかで担保していく仕組みが必要なのではないだろうかと考えたり。

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)