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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売、小中学生対象に「新聞検定」を無料実施 新聞をめくりながら解答

読売新聞社は9月12日、学研グループ・市進教育グループと協力し、「第1回新聞検定」を東京、千葉、埼玉、茨城の1都3県で実施する。当日会場で配られる読売新聞の朝刊を読みながら、さまざまな問題を解いていくという新しいスタイルの検定で、情報を読み解く「メディア・リテラシー」を鍛え、子供たちの学力向上を目指す。
(2015年8月24日付新聞情報より)

[公式サイト]⇒読売新聞 第1回 新聞検定 東京都・埼玉県・千葉県・茨城県 1都3県
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 読売新聞社は9月12日に小学校高学年から中学・高校生を対象にした「新聞検定」を実施する。小学4~6年制向けの「初級」と中学生以上向けの「中級」の2部門で、当日会場で配られる新聞をめくりながら設問の対象となっている記事を探し、正解を見つけていく。制限時間はいずれも50分。

 検定料は無料となっており、東京、千葉、埼玉、茨城の学習塾など170会場以上で受検できる。申し込み期間は7月21日から8月21日で終了。各部門の1位には図書カード1万円分、上位5人には5,000円分のが贈られ、読売新聞紙面とウェブサイトに氏名を掲載する。また、参加記念品として読売KODOMO新聞が1号分贈られる。

 サンプル問題を見ると、回答はマークシートおよび記述式で、記事の中から用意された答えを見つけ出す形となっている。どの程度の受検者を集めるかわからないが、サンプルのような単純な設問では全問正解者が続出してしまうような気もする。成績上位者にインセンティブを与えている以上、設問の仕方にも工夫を凝らす必要があるだろう。

 新聞社が主体的に関わる検定事業としては、毎日新聞が中心となって2007年から実施し、累計受検者数が22万人を突破したニュース時事能力検定(N検)や、朝日新聞とベネッセが2011年から共同で実施している語彙・読解力検定日経新聞が実施する「日経TEST」などがある。今回の読売新聞による「新聞検定」がこれまでと大きく異なるのは無料で実施されるということだ。

 当日会場でリアルな新聞紙面をめくりながら回答するというスタイルから、新聞紙面という媒体そのものの啓蒙を意識したものであることが伺える。学習塾に通うような世帯の子どもに、少しでも紙に触れてもらう機会を作るということなのだろう。裏を返せばそういった教育熱心な世帯でも紙とは縁遠くなっているということなのかもしれない。

 また、無料で実施するということはそれなりに営業活動的な要素も含んでいると考えるのが自然だ。会場でのPRはもちろん、受検者の名簿を活用して、読売本紙やKODOMO新聞、中高生新聞といった媒体の営業に利用していく方針なのだろう*1。さすがに当日会場で拡張カードにサインさせるようなことはないだろうが、いつの間にかお試し配達が始まっていたということはあるかもしれない。

*1:受検規約には、「本検定に関する個人情報について、個人情報保護法及び関係諸法令並びに検定事務局が別に定める規定等に従って、適切に取り扱う」とのみ表記されており、よくある「目的の範囲外では利用しない」いう記載はない