edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

下野新聞、記事にQRコード 付加情報を携帯電話で

 新聞記事に更なる魅力をプラス――。下野新聞社は10月1日付からの紙面改革で、新サービス「+S(プラス・エス)」をスタートした。記事に付け加えたQRコードを携帯電話で読み取ることで、紙面に載せられなかった動画、写真、地図、図表、メモ、問い合わせ先などの情報が見られる。携帯電話と紙を連動させ、新聞が手元になければ受けられない読者限定のサービスで読者増を図る。
 「+S」は08年度からの「現場の記者の動画撮影」が軌道に乗り出し、安定出稿ができるようになったため、読者に楽しんでもらえるサービス展開として始まった。(中略)
 「+S」にする記事は、毎週木曜日に編集局の関連部長が集まり、1週間の動画出稿予定表を作成。動画に適したニュース素材を使って、1面では毎日、動画と写真付きの「+S」の原稿を掲載する計画だ。1面以外にもデスクを中心に臨機応変に対応している。素材は現場のデスクが集め、メディア報道部がCMS上で登録、QRコードを制作し、出稿デスクに渡す。
 初日の紙面では、那須の紅葉の記事に「+S」を付加し、ユニークユーザー数が約1200、ページビューが約7000だった。
 (文化通信10月25日付「下野『+S』スタート」)

 栃木県の県紙である下野新聞で、10月1日の新しい紙面改革で新しいサービスが始まった。記事にQRコードを付加し、紙面には載せられなかった情報を携帯電話で得られるという「+S」というサービス。なお「S」には「Shimotsuke(下野)」、「Special(特別な)」、「Surprise(驚くような)」、「Spread(拡張された)」、「Service(サービス)」の意味が込められているとのことだが、さすが新聞社だけありよくこれだけの意味を詰め込んだものだと感心する。
 下野新聞のウェブサイトによるサービスの紹介はこちら。
Cookie無効 - 下野新聞
 新聞記事や写真にQRコードを付け、携帯電話で動画が見られるという企画はそれほど珍しいものではない。3年前の2007年にはすでに東奥日報が「動く新聞 聞こえる新聞」で新聞協会賞を受賞(経営・業務部門)しているし、最近では朝日新聞の名古屋本社版で、人気アイドルグループSKE48を起用した企画「SKE48の社会科見学」の中で、取材中の様子を動画で見られる試みなどがある。これらと下野新聞の決定的に異なるのは、付加するのを動画に限らず、写真、地図、図表、メモ、問い合わせ先といった広い範囲の情報を対象にしていることだ。
 初日のユーザー数は約1200と、約30万部の発行部数と比較すると物足りない数字ではあるが、こういった新しい試みがこれまでの読者に対し受け入れられ、習慣化していくためには長い時間がかかるだろう。ただ、「紙面では表現できなかったり、収容しきれない情報を携帯で」という姿勢は新聞読者にとっては間違いなくプラスである。「らくらくホン」などの高齢者向けケータイにもQRコード読み取り機能は搭載されているので、そのうち販売店の担当者が、集金時にQRコードの使い方を高齢者に教えるという時代が来るのかもしれない。