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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞、連載「メディア激変」で自社デジタル事業を3連続プッシュ

 朝日新聞夕刊で、今年3月29日から始まった長期連載企画「メディア激変」で、自社のデジタル事業への取り組みを3日連続で紹介するという、ある意味珍しい光景があった。

 新聞とは異なったコンテンツをあらたにつくり、Web上で有料で読んでもらうには課金システムが必要だ。朝日新聞は3月に「Astand(エースタンド)」を稼働させた。ウェブロンザのほか、新聞の連載記事などを再構成した「WEB新書」をそのシステムを利用して課金コンテンツとして提供している。
asahi.com(朝日新聞社):〈メディア激変74〉逆境に立ち向かう新聞―8 新ビジネスへの挑戦 - メディア激変

 インターネットの発展の過程でニュースの無料領域は広がった。報道機関のwebサイトは大半が無料だ。Yahoo!などは新聞社などから仕入れたニュースを無料で提供している。
 「無料の世界」でニュースをお金にできないか。朝日新聞とテレビ朝日、KDDIが協力して09年6月から始めたau携帯電話向け有料サービス「EZニュースEX」も新たな挑戦だったが、ニュースを売るだけではなく、「プラットホーム(基盤)」づくりという狙いも込められていた。
asahi.com(朝日新聞社):〈メディア激変75〉逆境に立ち向かう新聞―9 ニュースを売る - メディア激変

 新聞社は編集、印刷、広告、販売、配送を集約した自前のプラットホームに記事を載せて収益を上げてきた。ネット時代に入り、ウェブにプラットホームを築いた企業が誕生し、紙の時代の優位性が揺らいだ。ネット時代のプラットホームづくりが新聞社の経営課題となった。
asahi.com(朝日新聞社):〈メディア激変76〉逆境に立ち向かう新聞―10 新しいプラットホームをつくる - メディア激変

 編集紙面で自社の事業をここまで取材対象として取り上げるというのも珍しいことだが、それだけ朝日新聞社としてもデジタル事業に力を入れているのだということの一つの証明なのだろう。
 単なる「記事」というコンテンツの提供者にとどまるのではなく、他社との協業を積極的に行い、ネット上でも「プラットホーム」を抑えようという気概のようなものは伝わってくる。
 3回の連載をまとめると、朝日が今後狙っていく以下のような図式になる。アップルやグーグルといったいわゆる「黒船」に対抗し、「民族系」の企業連合で取り組んでいくように映る。

■携帯系プラットホーム
EZニュースEX(KDDI、テレビ朝日との協業)
■ウェブ課金プラットホーム
エースタンド(構築は単独、コンテンツ提供者として出版社への参加呼びかけ)
電子書籍端末プラットホーム
ソニー、凸版印刷KDDIが設立した電子書籍配信事業

 ちなみに最近の「メディア激変」では、共同通信による地方紙各紙の電子新聞プラットホーム構想日経新聞電子版産経毎日の動きなども記事となっている。業界に関心のある人にはおすすめ。