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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

言論サイト「WEBRONZA」、オープン日に執筆者の1人が原稿料を暴露し撤退宣言

 朝日新聞社は24日、ネット上に点在する優良な言説を集めるという言論・解説サイト「WEBRONZA(ウェブロンザ)」を開設した。あわせて、ニュースの解説や論考を掲載する有料ウェブマガジン「WEBRONZA+(ウェブロンザプラス)」も創刊した。編集長は、朝日新聞編集委員の一色清氏が務める。
朝日新聞が言論・解説サイト「WEBRONZA」、佐々木俊尚氏ら執筆の有料記事も -INTERNET Watch

 朝日新聞社は6月24日、言論・解説サイト「WEBRONZA」を開設した。名称は2年前に休刊した月刊誌「論座」の名前を受け継ぎ、論だけでなく、ニュースに対応する素早さや解説も重視したサイトを目指している。
 有料の「WEBRONZA+」では、学者や専門家、ブロガーと朝日新聞の論説委員と編集委員ら60人が独自の視点からニュースを解説する。月額料金は735円で6月一杯は無料、7月から課金を開始する。
 課金手段としては、4月オープンした有料コンテンツ販売サイト「Astand(エースタンド)」を利用する。今後の朝日新聞社のウェブコンテンツの販売はAstandに一本化させていくという意志が感じられる。今のところクレジットカードしか対応していないのは少し残念。
 ところで、執筆者の1人であり、ITジャーナリストとして著名な佐々木俊尚氏がWEBRONZAの原稿料が1本1万円であることに「あまりにも安い」と反発し、当分寄稿を見合わせる宣言をtwitter上で行った。

朝日新聞のWEBRONZAっていうのがスタートして私も執筆者に入ってるんだけど、ここ原稿料が1本1万円。おまけに月に何本書いても上限は2万円。有料サイトとしてこういう原稿料の設定ってどうなんだろう。ちょっと微妙な感じ。less than a minute ago via Seesmic Web

そう言うことなので、当分WEBRONZAへの寄稿は見合わせます。「原稿料を暴露してけしからん」と言ってきたら、それもここで報告しますよと通告しておきます。NDAも何も交わしてないしね。less than a minute ago via Seesmic Web

 その後のツイッターへの投稿はテンポ良く続き、自分はすでに有料メルマガと講演と書籍の印税で十分食えているので、既存マスメディアと対等な立場で交渉していくと表明。パブリシティ効果が見込める無料サイトや公共的な役割があれば原稿料は安くてかまわないが、有料サイトはそういった目的を見込めないことを運営側が意識すべきと説いている。

多くの人に読まれる媒体力を持っていてパブリシティ効果があるのであれば、原稿料は問題じゃないんですよ。実際CNETのブログは原稿料は格安ですが、媒体力が強力なのでやめるつもりはありません。でも有料サイトというペイウォールの内側にある閉鎖系では、パブリシティ効果は非常に低い。less than a minute ago via Seesmic Web

 佐々木氏個人としてはすでにフリージャーナリストとして十分に実績を残しており、多くの読者からの支持もある。本人にも自負があるゆえに、このような勇気ある発言ができるのだろう。
 ただ、佐々木氏の取材・執筆のフィールドがIT産業やメディア論といった、ウェブの世界と親和性が高く、商売になりやすいという特性があることも事実。他の分野を対象とするジャーナリストが同じような真似ができるかどうか。
 月額735円という値段は月刊誌の価格を参考にしたと思われる。今年夏に電子版で復活する予定のフォーサイトもそうだが、新たな言論空間をウェブ上に求めるというのは決して間違った方向ではない(成功する保証もないが)。有料登録会員限定の座談会を開くとか、会員同士の出会いの場を提供するとか、ただ文章を読む以上の「体験」を利用者に提供し、735円払うだけのプレミア感を与えられるかどうかが分かれ目となるのではないだろうか。