edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

電通、雑誌の有料配信をiPadでも開始へ

 電通は講談社など有力出版社と組み、米アップルが4月下旬にも日本で発売する新型の携帯端末「iPad(アイパッド)」向けに雑誌38誌の記事を有料で配信するサービスを始める。
 携帯電話に比べ大きな画面にカラーで記事を表示できるため、各誌は広告媒体としての価値向上も期待できるとみて配信に踏み切る。記事の配信を決めたのは講談社の「おとなの週末」や扶桑社の「SPA!」、主婦の友社の「ef」など38誌。各誌数百円前後で読める。実際のサービス開始までにさらに増える可能性がある。
NIKKEI NET(日経ネット):「iPad」に雑誌配信、「おとなの週末」など38誌

 3月12日の日経朝刊に出て以来、なぜか他社がフォローしていない*1のだが、結構重要なニュースだと思うのでメモ。
 電通は昨年9月にiPhoneとiPodTouch向けのアプリで有料の電子雑誌配信サービスを開始したが、現在のところユーザーからの評判は今ひとつのようだ。しかし、電子書籍端末としての利用が想定されるこのiPadの発表まで見据えてシステムを構築していたとすれば、慧眼であったと言っていいだろう。
 メディア企業の特性を理解する上で役に立つ、コンテンツ、コンベア、コンテナのいわゆる「3Cモデル」にこの電子配信を照らせば、雑誌社はコンテンツ創作に徹し、コンベアの部分はアップルが、コンテナは電通(ソフト)とアップル(ハード)が握ることになる。 
 ユーザーからの声として想定されるのは「紙の雑誌より安くしてほしい」「Lite版とかFull版といった雑誌社主導でパッケージを決められるのではなく、記事単位でばら売りをして欲しい」といったところだろうか。ネット上の音楽配信という先例では、上記2つの要望のかなりの部分が達成されてしまったことを考慮すると、雑誌もある程度そうなっていく可能性は高いのかもしれない。

*1:なおこの報道により[http://money.jp.msn.com/newsarticle.aspx?ac=F05015100312&cc=12&nt=00:title=電通の株価が昨年来高値を更新]という影響が出た