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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売、新聞記事DB活用方法セミナーを公共図書館で開催

 新聞・出版に関する業界紙「新聞之新聞」12月11日付に興味深い記事が出ていたのでメモ。読売新聞社が新聞記事データベースの活用方法を解説するセミナーを東京都千代田区の公共図書館で開催したとのこと。読売新聞の記事データベースといえば、創刊以来135年分の記事1000万件以上を検索・閲覧できる巨大なアーカイブ。千代田区立図書館の開催概要ページを見ると、定員に達し申し込みを終了する告知が出るなど注目度はあったようだ。

◆新聞記事DB活用方法 読売・戸塚氏が講師に
 新聞記事データベースの効率的な検索方法やさまざまな活用方法を解説する情報探索講習会「新聞記事データベース徹底活用塾〜『ヨミダス歴史館』編〜」が三日午後七時から東京・九段南の千代田区立千代田図書館で、定員の十二人が参加して開かれ、講師を務めた読売新聞東京本社の戸塚俊介メディア戦略局データベース部次長は、新聞記事データベースのビジネス、学術研究のほか自分史・郷土史編纂など多様な分野での活用例を紹介し、その特性について「書籍などの資料とは異なり、新聞では検索した対象以外の記事も読めて時局を感じることができる」と説明、受講者は二人一組となって実際に記事検索の操作を行いながら新聞記事データベースの利用方法について理解を深めた。
 区民四万五千人に対して昼間人口が約八十万人という千代田区にあって、千代田図書館は二〇〇七年五月にリニューアルオープンし、指定管理者による運営を開始して以降、平日は午後十時まで開館するなどビジネスパーソン向けのサービス、企画をさまざま展開し、オンラインデータベースについては「ヨミダス歴史館(読売新聞)」「聞蔵�ビジュアル(朝日新聞)」「日経テレコン21(日本経済新聞デジタルメディア)」「毎日Newsパック(毎日新聞)」の新聞記事検索をはじめ、「官報情報検索サービス」など九種の利用が可能で、「他図書館に比べ利用率は高いが、データベースに限らず、インターネット環境を生かした情報収集のさらなる促進」(広報担当)を目的として情報探索講習会を開催。
 (2009年12月11日付 新聞之新聞)

 図書館にとって増え続ける蔵書量は悩みの種で、新聞製本や縮刷版の収蔵スペースに悩む図書館は規模の大小を問わず多いと聞く。当然、図書館側にとっても収蔵スペースの必要がないオンラインデータベースが利用できればそちらの方が好ましいだろう。
【参考】⇒国会図書館:パンク寸前 新刊急増、本のサイズも大型化 あと2〜3年持つかどうか… - 毎日jp(毎日新聞)
 過去の新聞を調べるというのは結構大変な作業で、まだ縮刷版や製本になっていればましだが、それがない昭和初期〜中期の新聞を調べるにはマイクロフィルムをめくるしかない。正直言って、マイクロフィルムをリールにセットし、延々と回して拡大写真を眺めるあの面倒くささは筆舌に尽くしがたい。
 それがパソコンを通して閲覧できるということになれば、近代史・郷土史の研究者にとっては非常に役立つだろうし、図書館側にとっても収蔵管理や劣化対策の手間が省ける。いずれ図書館に収蔵されている過去の新聞資料のほとんどは電子化されていくだろう。
 ちなみに、欧米の新聞は過去200年にさかのぼって電子化され、インターネットを通し無料公開されていたりする。下記メディア・パブさんのエントリによると、1912年のタイタニック号が沈没したときのニューヨークタイムズの記事も簡単に検索できるそうだ。日本語と英語の利用人口の違いがあるとはいえさすがである。
【参考】⇒メディア・パブ: 充実する米英新聞社サイトのアーカイブサービス,200年前の記事も検索対象に
 ひょっとしたら、日本でもどこかの新聞社がGoogleに過去のマイクロフィルムの電子化(紙面画像のテキスト変換)とネットでの公開を委託する、なんてことがあったりして。