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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

「ネットは新聞を殺すのか」著者の湯川鶴章氏が時事通信を退職

  さて、私ごとではございますが、このたび時事通信社を今月末日をもって退職することになりました。在職中は公私にわたり格別のご懇情を賜り誠にありがとうございました。 厚くお礼申し上げます。 
 転職を決めたのは、わたしの専門であるオンラインビジネスの領域で時事通信社に貢献したいとこれまで努力してきましたが、自分自身の未熟さからほとんど結果を出せなかったのが一番の理由です。また今後も出せそうにないという展望に立ち、社を去ることが社への最大の貢献であるという結論になりました。
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 時事通信の編集委員で、ネットとジャーナリズムの未来というテーマについての論客である湯川鶴章氏が時事通信を12月31日に退職するとのこと。
 「ネットは新聞を殺すのか」の著者として有名で、今から6年前の2003年という早い段階にインターネットの普及拡大がジャーナリズムにもたらす影響について考察を重ねていた。変化の早いこの世界ではもはや古典といってもいいかもしれない。
 基本的な論点としては、amazonのレビューに簡潔にまとまっているものがあったので転載。

  1. 従来情報の受け手側だった一般人が容易に情報を発信できるようになった。
  2. 受け手側のメディアリテラシーの高まりによって、受け手側が積極的に情報発信者の選別を行うことになる。
  3. その能力の高まりによって、既存メディアに広告を出稿していた企業は、より効果的な媒体であるインターネットへ比重を移すだろう。
  4. 広告主の動向の変化によって、大部分の収入を広告に頼っていた既存のメディアは統廃合が進むだろう。

Amazon.co.jp: ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア: 国際社会経済研究所, 青木 日照, 湯川 鶴章: 本

ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア

ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア


 海外支局のアルバイトから中途採用で時事通信に入社し、これまでいろいろ苦労もされたようだ(差別に近い仕打ちも受けたようで、こちらのエントリにはその苦労の一端が綴られている)。
「専門であるオンラインビジネスの領域で貢献したいとこれまで努力してきたが、未熟さからほとんど結果を出せなかった」のが退職の理由としてあげている。記者として“ニュース”を発掘しその本質を追求していく適性と、ビジネスを立ち上げ、収益を確保し軌道に乗せていける適性は異なるものなんだろう。