edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日天声人語氏「ネットでは私の誠意は割り引かれている」

 朝日新聞の10月18日(日)朝刊1面コラム天声人語から。「新聞配達の日」にちなんだコラム。

▼人の手で運ぶ新聞が温かいのは自然なことかもしれない。今年の新聞配達の代表標語も 〈宅配で届くぬくもり活字の重み〉である。凍える朝でも嵐の夕でもいい。情報の重い束を運ぶ42万人に思いをはせたい
▼新聞社はネットでも発信しているが、そこで再会するわが文は心なしか「誠意」を割り引かれている。 特にコラムの場合、体裁の違いはそれほど大きい。どうか小欄は、ぬくもりを添えてお届けする 「縦書き」でお読み下さい。
asahi.com(朝日新聞社):天声人語 2009年10月18日(日)

 無料の情報があふれる時代に新聞代を払う読者に対して感謝の言葉を述べた上で、戸別配達の意義を述べていのだが、文末で「どうか縦書きで(紙面で)読んでほしい」とコラムらしくない結び方をしている。あるいは毎日心血を注いで書いた文章を、いとも軽くネットに転載してしまう朝日新聞社内のデジタルメディア部門へのチクリとした嫌みだろうか。
 まあ、確かにコラムについては縦書きで読んだ方がいいように思うこともあるし、ネットに転載しなければこのように2ちゃんねるで不特定の誰かから評されたり、あるいは批判されたり冷笑されたりすることもないだろう。特に朝刊1面のコラムは「看板」なのだから、そこまでネットに載せなくてもいいのではという考えがあってもおかしくない。せっかく「アスパラクラブ」のような読者会員サイトがあるのだからネットで読みたい人はそこでどうぞという方向性もあるのではないか。当然、読む人は減るだろうが。
 「ネット時代の言論は可能な限りオープンであるべきだ」や「いまやネットに載っていない情報は存在しないに等しい」という意見もあれば、天声人語氏のような考えもある。ただ、新聞を紙で読んでいる層と、ネットでしか読まない層の断絶を深めるようなことは決して良い未来だとは思えない。
【参考】夕刊フジ記者コラム「それでも記事はネットに転載すべき」 - edgefirstのメモ