edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日のクラウドファンディングでSMAPファンの活動続く 熊本地震支援で1300万円達成

 昨年末に朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト「a-port」で行われた「SMAP大応援プロジェクト」。SMAPファンの3人が発起人となり、12月31日のSMAP活動休止にファンの力を合わせて新聞広告で自分たちの思いを届けることを目的に、12月20日から27日までの8日間でクラウドファンディングによる募金を行った。わずか2日で当初目標の1000万円を突破し、最終的には1万3千人から4000万円近い金額が集まった。12月30日の朝日新聞朝刊に、支援者の名前がずらりと並ぶ8ページに渡る全面広告として掲載され、新聞社におけるクラウドファンディング活用例としても大きな注目を集めた。

[参考記事]

 大きな反響をもたらしたその後もSMAPファンたちの熱い思いは続いており、熊本地震の被災地支援を目的とする第2弾が引き続きa-port上で企画された。期間は熊本地震1周年の4月14日から5月12日までの約1カ月間。集まった金額の半分を被災地への義援金に、半分をファンの思いと被災地支援を訴える新聞広告費に充てることがアナウンスされた。

SMAP大応援プロジェクト~ずっと忘れない☆not alone~|クラウドファンディング|A-port 朝日新聞社

 今回は前回のように紙面への支援者の名前やニックネームの掲載はなく、「SMAPファンの共通の思い」として熊本地震への支援を訴えるというものであったが、約1カ月の募集期間で5275人から1300万円を超える支援が集まった。a-port手数料(20%)を除いた半額を広告費、残り半額を義援金朝日新聞の厚意で寄附分が約50万円増額され、564万2856円が最終的な義援金、500万弱が広告費となった。前回が4000万で8ページであり、1ページあたりでほぼ同等の水準になっている。

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 新聞広告は5月29日(月)の朝刊全国版にカラーで掲載。「FOR KUMAMOTO PROJECT」と白抜きされた真っ赤なハートを抱えたくまモンが大きく紙面に登場し、復興に向けたSMAPファン一同の思いと支援の継続を発信する内容となっている。紙面には義援金の受け入れ口座番号と、熊本県大分県ふるさと納税方法を案内するページにアクセスできるQRコードも掲載された。

 第一印象として、この企画の主人公はSMAPファンたちのはずで、それに比べてくまモンを大きく扱い過ぎではと個人的に思わないでもないが、多くの人々に支援の思いを届けるためにはくまモンというアイコンを全面に出した方が効果的、と発起人らが判断したのだろう。この活動が末長く続いていけば、今は無理だとしても、いつの日かメンバーたちと一緒に支援の呼びかけができる時が来るのかもしれない。

 グループ活動が消滅した後も続くSMAPファンの連帯意識が続いていることも驚きだが、朝日新聞社クラウドファンディングという場を用いて、多くの人の意思をウェブ上で集め、それを紙面(広告)という記録性のあるモノに残す仕組みを選択肢として用意するスキームが生まれたということは興味深い。頻繁にあるわけではないだろうが、今後も個人広告や意見広告のプラットフォームとして活用できる可能性はあるだろう。

 クラウドファンディングは、クレジットカードやコンビニ決済で支払いや集金・出納業務の負担を下げ、ソーシャルメディアを活用することで情報発信および拡散、活動状況の更新や結果報告などが非常に気軽かつ活発に行えるようになっている。こういった活動の最終的な成果物の一つとして新聞広告が選ばれるようになったことは、2015年に新聞社で先陣を切ってクラウドファンディングに参入した朝日新聞としても一つの成功であり、大きな自信になったのではないだろうか。