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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

オバマ大統領の広島演説 朝日、中日が特集コンテンツ制作

 5月27日に米国の現職大統領として初めて原子爆弾が投下された広島市平和記念公園を訪れたオバマ大統領。17分に渡って演説し、犠牲者の追悼と原爆被害の記憶を風化させてはならないこと、核なき世界を追求する勇気を持つことなどを訴えた。

 各新聞社も演説全文の日本語訳を紙面やニュースサイトにアップしていたが、その中で朝日新聞中日新聞がウェブの特性を生かしたコンテンツを公開していたのが目に止まった。

朝日新聞 理念と現実の模索が続いた任期8年をまとめ

 朝日新聞は「核なき世界 模索の8年」と題したコンテンツをサイトにアップ。ページを下にスクロールしていくと広島演説の抜粋が流れた後、2009年の大統領就任直後に核廃絶を訴えた「プラハ演説」に始まる8年間の核軍縮の取り組みと、シリア情勢をめぐる緊張やウクライナ危機で悪化する米ロ関係や、核実験を続ける北朝鮮などの国際情勢の現実が、「動く年表」の中で対比されるように時系列で並ぶ。

[該当ページ]⇒核なき世界 模索の8年 - オバマ米大統領、広島へ:朝日新聞デジタル

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また、朝日新聞は「世界の核兵器 これだけある」というビジュアルコンテンツも同時に公開。世界地図の上に各国がどれだけ核兵器を保有しているかを円の大きさで表現し、1945年から2014年までの推移を動くグラフで見ることができる。1986年には世界で6万4千あった核兵器が、2014年には1万以下に減ったものの、パキスタンやインド、北朝鮮などにも広がっていることが非常にわかりやすく伝わってくる。

[該当ページ]⇒世界の核兵器、これだけある:朝日新聞デジタル

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中日新聞 映像・音声とテキストを同期再生

 広島演説そのものをより深く理解することに特化したコンテンツが中日新聞のウェブサイトにアップされたコンテンツだ。パソコンやタブレットでアクセスした場合はページ内の「同期ビデオ(sync)」のボタンを押すと、Youtube上にアップされた17分間の演説動画が表示される。スマートフォンの場合は「音声再生(audio)」の再生ボタンを押すことで開始する。演説の映像・音声と同期して、該当の英文および和訳部分が太字になる。演説の進行に合わせてページも自動的にスクロールしていく。*1

 テキスト部分は英語・日本語のみにもできる。ゆっくりとした非常に聞き取りやすい演説であり、テキストを一体となって視聴することで、英語の学習に最適のように感じた。また、2009年のプラハ演説についても同じような形式で視聴できる。

[該当ページ]⇒中日新聞:オバマ大統領の広島演説

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 朝日新聞オバマ大統領の8年の任期における取り組みを「理念と現実」という2つの軸から追い、広島演説をひとつの終着駅として描くストーリーとして構成している。その間の国際情勢の変化や、核廃絶の取り組みをじっくりと追うこと可能だ。一方、中日新聞は映像や英文和訳の素材は共同通信社のものを利用しながらも、映像(音声)とテキストを同期させるという表現技法を用いることで、演説の内容に対しより深く没入できるようなコンテンツとなっている。

 いずれのコンテンツも広島訪問の翌日にはアップされており、入念に準備されていたことが伺える。単純な全文掲載ではなく、ウェブの特性や表現技法を生かした取り組みであり、この戦後71年の歴史的な出来事を振り返るための貴重な記録として、ネットの世界に残り続けることを望みたい。

*1:ただ、製作者によると再生ボタンを押したのはユーザーの1割未満らしい…