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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日、毎日きってのデジタル活用記者がそろって移籍 バズフィード日本版開設にジョイン

メモ


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(画像はBuzzfeed Japan facebookページより引用)
 朝日新聞毎日新聞きってのデジタルを活用した記者活動を行っていた古田大輔、石戸諭の両氏が、そろって新興ニュースメディア「BuzzFeed(バズフィード)」に移籍することになった。朝日出身の古田氏はすでに昨年10月16日に日本版の創刊編集長に就任することが大々的に告知されていたが*1、石戸氏も12月31日で毎日新聞を退社し、1月5日にツイッターでバズフィード記者として転職したことを告知。バズフィード日本版は春ごろ伝統メディア出身で知名度のある2名がスタートに関わることになった。

[参考]⇒BuzzFeed Japan、思わぬ大物を創刊編集長に起用 | TechCrunch Japan

 古田氏は1977年生まれで2002年朝日新聞入社。社会部記者を経てバンコクシンガポールに赴任。2013年の帰国後、朝日新聞デジタルや、同社の新しいWebメディア「withnews(ウィズニュース)」の編集に携わった。テキストと写真、動画など様々なウェブ表現技術を複合的に組み合わせるコンテンツや、オープンデータを活用したデータジャーナリズムなどに果敢に取り組んだ。関わった主な作品に、フィギュアスケート浅田真央の軌跡を描いた「ラストダンス」や、中国の南シナ海への海洋進出をレポートした「対立の海」などがある。また、ウィズニュースではNewspicksの佐々木紀彦編集長や東洋経済オンラインの山田俊浩編集長など急成長するネットメディアのキーマンへの読み応えのあるインタビュー記事を掲載した。

 石戸氏は1984年生まれで2006年毎日新聞入社。岡山支局や大阪社会部を経てデジタル報道センターに。毎日新聞の中で最も早くからツイッターを使いこなしてきた。2013年参院選では立命館大学との共同研究でネット選挙の影響を幅広く分析し、データのビジュアライズにも取り組んだ。また、原発漫画「いちえふ」作者の竜田一人氏や、安保法制においてリベラリズムの立場から議論を提起した井上達夫・東大教授、ネット中傷と10年以上戦ったお笑い芸人のスマイリーキクチ氏などへのインタビューなどで、紙面では書ききれない内容を積極的にデジタル版に掲載し、毎日新聞デジタル版で「キーパーソンインタビュー」というジャンルを確立した。

 いずれもネット上では注目される存在であり、その両者がそろって日本版が開設されるバズフィードに移籍したことは大きな驚きだ。バズフィードは2006年米国で設立されたニュースサイト。サイトへの月間訪問者数は2億人、動画の再生回数は15億回を超える。「バズ(話題、口コミ)をフィード(提供する)」という名前の通り、ネット上で話題のテキスト、写真、動画を拾い上げ、読者にウケる形で編集し、それを様々なソーシャルメディアに拡散することで一躍人気となった。まとめ記事やクイズ、投票などを取り入れたネットユーザーがつい反応してしまうコンテンツも多い。日常のちょっとした面白動画や芸能、ライフスタイル記事から政治経済国際の硬派なニュースまで充実しており、最近は調査報道や海外特派員からのニュースなど報道にも力を注いでいる。

 大きな特徴は収益化で、通常のニュースサイトのようなバナーやテキスト広告がなく、広告をコンテンツとして配信・拡散する「ネイティブアド」が主力。広告代理店を通さず自社で広告の受付→制作→拡散を行っており、「バズ」をもたらすコンテンツ制作と拡散力を武器に収益化を拡大している。

[参考1]⇒月間2億ユーザーを魅了する、BuzzFeed流「バズ記事」の作り方 | DIGIDAY[日本版]
[参考2]⇒BuzzFeed、「メディア兼広告代理店」の凄み | DIGIDAY[日本版] | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 東洋経済オンラインからNewspicksに移籍した佐々木紀彦氏は、2年ほど前(2014年5月)の朝日新聞のインタビューで「伝統メディアから新興メディアへの記者の移動が5年経たず来る」と予言した。ちなみにこのインタビューしていたのが当の古田記者だったのが象徴的な話だ。単純に金銭的な待遇だけの話ではなく、自分の実現したいこと、力を発揮するために最適な媒体を選んだ結果なのだろう。伝統メディアでデジタルを活用しようとすればするほど、その限界が見えてくるのかもしれない。

 なお、バズフィード日本版サイトは、バズフィードの米国本社と、日本最大の検索サイトYahoo!Japanを運営するヤフージャパンが合弁で設立した日本法人が開設準備を進めており、BuzzFeed Japanでの広告についてはヤフーが独占販売権を持つことになっている。ヤフーは前任の井上社長の時は「ニュースは作らない」と言明していたような覚えがあるが、2012年に現在の宮坂社長に代わってからそこはどんどん変化している。

2013年にはすでにニュース解説サイト「THE PAGE」を運営する子会社を立ち上げ、Yahoo!ニュースにオリジナルコンテンツを供給。「取材しない編集部」だったYahoo!ニュース編集部も「ニュース特集」というコーナーを立ち上げ、雑誌編集部や番組制作会社ともコラボしながら社会問題の提起を行う“ジャーナリズム”の領域に踏み込んでいる。また、フリーライターや研究者の情報発信を支援するプラットフォームである「Yahoo!ニュース個人」も着々と成果を上げている。ヤフーは現時点ですでに報道機関の役割を担っており、ここにバズフィードが加わることで、今後もその役割も拡大していくことになるのだろう。