edgefirstのブログ

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10年前と比較した都道府県別シェア1位の新聞普及率(2015と2005)

 先日、2015年12月11日付業界紙・新聞展望に掲載された表を元にした「都道府県別シェア3位までの新聞普及率(2015年上半期)」を紹介したが、今日は同時に掲載されていた「新聞普及率・10年前と比較」についてメモしておきたい。

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 2005年と2015年で、都道府県それぞれのシェア1位の新聞の普及率がどのように変化したかを比較した資料である。2005年といえば尼崎脱線事故郵政解散愛知万博があった年。そこから10年を経て、新聞の影響力がどのように変化したかを示すデータとして参考になるだろう。新聞普及率とは朝刊部数を住民基本台帳による世帯数で割ったもので、その新聞が都道府県内でどのくらいのシェアを持っているか示すために使っている*1。なお、沖縄県については有力2紙(沖縄タイムス琉球新報)が日本ABC協会の公査を受けていないため掲載していない。

 注意事項として、2005年と2015年では住民基本台帳の世帯数が60万程度増加している(2005年:50,382,081⇒2015年:56,412,140*2)ため、仮に同じ部数をキープしたとしても普及率は下がる。実際に石川の北國新聞の場合、2005年比で部数は若干増加しているが、世帯数の伸びに及ばないため普及率は下がっている。

都道府県 2015シェア1位 普及率 2005シェア1位 普及率 増減率
北海道 北海道新聞 39% 北海道新聞 48% -9
青森県 東奥日報 42% 東奥日報 47% -5
岩手県 岩手日報 39% 岩手日報 47% -8
宮城県 河北新報 46% 河北新報 56% -10
秋田県 秋田魁新報 54% 秋田魁新報 64% -10
山形県 山形新聞 49% 山形新聞 54% -5
福島県 福島民報 33% 福島民報 42% -9
茨城県 読売新聞(東京) 35% 読売新聞(東京) 42% -7
栃木県 下野新聞 39% 下野新聞 45% -6
群馬県 上毛新聞 37% 上毛新聞 42% -5
埼玉県 読売新聞(東京) 32% 読売新聞(東京) 40% -8
千葉県 読売新聞(東京) 30% 読売新聞(東京) 37% -7
東京都 読売新聞(東京) 18% 読売新聞(東京) 25% -7
神奈川県 読売新聞(東京) 24% 読売新聞(東京) 30% -6
新潟県 新潟日報 52% 新潟日報 61% -9
富山県 北日本新聞 58% 北日本新聞 65% -7
石川県 北國新聞 64% 北國新聞 70% -6
福井県 福井新聞 72% 福井新聞 79% -7
山梨県 山梨日日新聞 58% 山梨日日新聞 66% -8
長野県 信濃毎日新聞 56% 信濃毎日新聞 61% -5
岐阜県 中日新聞 46% 中日新聞 59% -13
静岡県 静岡新聞 42% 静岡新聞 54% -12
愛知県 中日新聞 50% 中日新聞 65% -15
三重県 中日新聞 39% 中日新聞 50% -11
滋賀県 読売新聞(大阪) 24% 読売新聞(大阪) 29% -5
京都府 京都新聞 33% 京都新聞 40% -7
大阪府 読売新聞(大阪) 20% 読売新聞(大阪) 25% -5
兵庫県 神戸新聞 21% 神戸新聞 25% -4
奈良県 毎日新聞(大阪) 25% 毎日新聞(大阪) 27% -2
和歌山県 読売新聞(大阪) 25% 読売新聞(大阪) 30% -5
鳥取県 日本海新聞 69% 日本海新聞 76% -7
島根県 山陰中央新報 60% 山陰中央新報 63% -3
岡山県 山陽新聞 48% 山陽新聞 61% -13
広島県 中国新聞 44% 中国新聞 55% -11
山口県 読売新聞(西部) 26% 読売新聞(西部) 30% -4
徳島県 徳島新聞 70% 徳島新聞 84% -14
香川県 四国新聞 47% 四国新聞 52% -5
愛媛県 愛媛新聞 39% 愛媛新聞 53% -14
高知県 高知新聞 52% 高知新聞 68% -16
福岡県 西日本新聞 24% 西日本新聞 32% -8
佐賀県 佐賀新聞 42% 佐賀新聞 47% -5
長崎県 長崎新聞 29% 長崎新聞 32% -3
熊本県 熊本日日新聞 40% 熊本日日新聞 54% -14
大分県 大分合同新聞 40% 大分合同新聞 49% -9
宮崎県 宮崎日日新聞 41% 宮崎日日新聞 49% -8
鹿児島県 南日本新聞 40% 南日本新聞 53% -13

 ここ10年でトップシェアの新聞社が変わった都道府県はないが、普及率については対象全てで減少していることがわかる。世帯数の増加という要因もあるが、2005年では県内50%以上の普及率を持っていた新聞社が22あったのに対し、2015年では12と半減近く減少している。10年でメディア環境が大きく変化したことがよくわかる。

 下落率が高いのは高知、中日(愛知県)、徳島、愛媛、熊本日日といったあたり。全体的に中国・四国・九州で下落率が高く、高いシェアを持っていた地方紙が大きく減らしている例が目立つ。反面、北信越の各社(福井、北國、北日本信濃毎日)は落ち込みつつも6割以上のシェアを維持しており、まだまだ踏みとどまっているように思える。

 

*1:ただし、朝刊発行部数は官公庁、企業、、学校、事業所などに配達される分や、販売店の予備紙も含んでいるため、厳密に購読世帯の割合を示す数値ではない

*2:総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査より