edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

新潟日報がテレビとウェブの連動CM 地域の声を届ける社会的使命を強調

 新潟日報社の新たなテレビCMが1日から放映され、視聴者から大きな反響を得ている。新CMは、登場人物のせりふの一部だけを紹介し、活字でなければ聞こえない声があることを強くアピールしている。すべてのせりふを聞くには新潟日報ホームページ「モア」に1日から設置されている特設ページにアクセスする必要がある。テレビCMからホームページへ、そして新聞購読へつなぐ同社の新たな試みに期待がかかる。
 CM作品は、新潟発のアイドルグループ「Negicco(ねぎっこ)」のNao☆さんら3人の女性が、地域の喜びや悲しみなど「声なき声」を届け、新潟に寄り添う姿勢を強調した『棚田篇』『廃校篇』『商店街篇』の3篇からなる。Nao☆さんほか県内に住む10代と40代の女性が起用され、すべて県内で撮影されたものだ。
 (9月17日付新聞通信より)

 「新潟の声を伝える」という強いブランディングメッセージを、テレビCMとウェブムービー、特設ページを組み合わせ、ユーザーに新聞購読を促す広告宣伝キャンペーンを、9月1日から新潟日報が行っている。

 使われている動画は全てYoutubeにアップされており、TVCMでは登場人物の言葉の一部だけを紹介し、ウェブで全ての台詞を聞くことができるという仕掛け。ストーリーは3本で、10代の女性が廃校となった小学校の中で「私達の大切な思い出を返してください」と泣き叫ぶ「廃校編」、40代女性がシャッター街となってしまった商店街で、「これからも生まれたこの街で生きていきたい」と痛切に訴える「商店街篇」、都会から限界集落に移住した設定のNegiccoのNAO☆さんが、「(この新潟で)世界一幸せなおばあちゃんになる」と元気よく宣言する「棚田篇」が展開されている。

 前の2つは、「声は、声のままじゃ、無防備だ」「声はかき消される、記事は残る」の印象的なフレーズで、毎日紙という媒体で地域の声を伝えることの社会的意義をアピールし、3つ目では「しあわせ声が、埋もれている」と明るくポジティブなイメージを出している。いずれも「新潟の声」という検索キーワードを表示し、ウェブへの誘導を図っている。

単にテレビCMをそのままウェブにアップするのではなく、テレビCM単体でも一つの作品として成立させつつ、ウェブムービー、特設サイトと連動することでより深いメッセージを伝える構造となっているのが特徴だ。

【テレビCMバージョン】

【特設サイト掲載バージョン】

[特設サイト]⇒新潟の声 新潟日報
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 アクセス先の特設サイトは新聞紙面を模したレイアウトで構成され、ウェブムービーの完全版が再生できるとともに、新聞が地域に必要不可欠なインフラであることや、様々な地域の課題を解決していくために新聞が役立てること、地域のために頑張る人たちを応援していくことなどがアピールされ、いろんな場所から購読や試読の申し込みにアクセスできるようになっている。

 また、ウェブムービーの最後15秒程度、Youtubeの動画プレーヤーの中に静止映像とともに「1週間の無料試し読みはこちら」のリンクが表示され、クリックすると申し込みフォームに遷移する。ムービーが心に響いたユーザーを逃さず試読や購読に結びつける工夫もされている。

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 これらのムービー以外もYoutube上にPR動画が何本かアップされており、9月からウェブでの動画による本格的なプロモーション活動を開始した様子が伺える

【PR動画一覧】⇒新潟日報PR - YouTube

 地域が苦しむ過疎化や衰退を悲痛な叫びや慟哭に盛り込み、まるで演劇のワンシーンのようなムービーの内容は賛否両論ありそうだ。ただ、社会的使命感を帯びたメッセージは強く、視聴者に与えるインパクトは大きいだろう。元記事によると「子育て世代まっただ中の30~40歳代の女性がドキッとするようなCMにしたかった」とのことだが、視聴者から大きな反響があったのも納得の内容だ。

 ただ、少し気になったのは、スマホで「新潟の声」というキーワード検索ではなく、新潟日報のサイトに直接アクセスした際に特設ページヘのリンクが見つけられなかったことだ*1。反響が大きいキャンペーンならば、検索キーワードだけでなく、トップページからアクセスした際も特設ページヘすぐにアクセスできるようにした方が良かったように思う。

*1:スマホ新潟日報のサイトにアクセスし、画面最下部の「パソコン版サイトへ」のリンクをクリックすることで告知を見れる