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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

四国新聞が「ビジネスライブ」開始 月5400円、データベースと速報で香川最強のツール目指す

 四国新聞社が提供する新電子サービス「BUSINESS LIVE(ビジネスライブ)」が、いよいよ1日スタートします。ニュース速報「タイムライン」や報道カメラなど独自コンテンツを満載した新メディアで、経済からスポーツ、おくやみまで「知って得する」情報を一元管理できます。
 企業やビジネスマンに向けた経済ニュースでは、決算発表や新工場建設などのニュースはもちろん、地元経済を支える中小企業の情報まで香川経済の動きはすべてフォロー。ガソリン価格や有効求人倍率など経済指標も即時更新します。
 報道カメラは、県内8カ所に設置した災害用カメラのライブ動画を限定公開。高松空港やJR高松駅瀬戸大橋などの今を見られます。データベースは県内の500社を超える企業情報に加え、県内政財界を代表する人物プロフィルも約800人を網羅。ドクターズファイルでは疾病や治療部位から知りたい専門医の情報を一発検索できます。
 タイムラインは、事件や事故を発生直後から「追跡」。身の回りの危険な出来事を順次知ることができるほか、知事や各市町長の定例会見、議会の動向などもテレビのニュースよりも早く提供します。
お知らせ―四国新聞社

 香川県の県紙・四国新聞が9月1日に新たなデジタルサービス「BUSINESS LIVE(ビジネスライブ)」を開始した。経済や人事といったビジネスの現場で役立つ情報を柱に、これまでにないコンテンツを盛り込んだ有料ウェブサービス。パソコン・タブレットスマートフォンでのウェブブラウザで利用できる。

[サービス内容]⇒ヘルプ | BUSINESS LIVE

 商品設計と価格設定において際立った特徴がある。他の多くの地方紙が紙の新聞購読の補完であることを強く打ち出し、既存読者への優遇サービスとして無料*1もしくは低価格*2での会員制サービスを提供しているのに対し、四国新聞は紙の購読は完全に切り離し、デジタル単独で月額5,400円(税込)という、日経電子版(月額4,200円)よりも高い金額設定となっている。新聞社の提供する一般向けの有料デジタルサービスとしては最高額ではないだろうか。

 なお、料金についてはサイト上に詳しい説明はなく、まず「四国新聞ID」を取得しその後マイページから「BUSINESS LIVEを契約する」に進んで初めてわかるため、びっくりするユーザーもいるかもしれない。他社でよくある無料お試し期間なども用意されていないため、登録の敷居は非常に高い。
(2015/9/18追記:紹介ページにて税抜月5,000円の料金が明示されるようになった。また、同時利用できる端末は1台であることも示されている)

 

 一番の売りは何と言っても記事・人物・企業・医師の各データベースだ。人物データベースでは、香川県内の首長や議員、企業経営者など800人について、所属/肩書/生年月日/出身地/小学校からの出身校/経歴・職歴のほか、個人のメールアドレスやFacebook、資格や免許、著書や受賞歴、趣味・特技や家族構成、好きな食べ物・お酒といった情報まで掲載されている。ドクターデータベースでも、生年月日/出身地/卒業大学/学歴/資格・所属といったプロフィールのほか、専門・得意分野・研究分野や、治療実績/論文・著書・受賞歴といった実績、趣味、特技、健康法まで網羅されている。いずれもその人物に関する四国新聞の記事一覧もセットで読むことができる。

 

 また、速報ニュースの見せ方として「タイムライン形式」を採用。地元の動向やビジネス系ニュースを中心にトップページ内に時系列でまとめ、都度ページ遷移をしなくてもすばやく一日の動きが把握できるようになっている。事件事故については発生直後から続報をフォローし、経緯がわかるようにするとのことだ。知事や市長の会見内容や、議会の審議内容などもテレビの夕方ニュースよりも早く速報。空港や駅、港などに設置したライブカメラの映像も提供し、台風や大雨など災害時の活用を呼びかけている。リアルタイムで香川の今がわかるような構成となっている。

 そのほか、朝刊紙面をパソコンやスマートフォンで読める「四国新聞電子配達版」も用意している。こちらは月額3,093円で単体契約することも可能。月額5,400円の「BUSINESS LIVE」には電子配達版も含まれる。

 日経の「人事ウォッチ」や、地方紙が春に実施する「教職員・公務員の人事異動検索」を見てもわかるように、人事情報は新聞社が掲載しているコンテンツの中で数少ない有料でもユーザーがつくコンテンツだ。地方紙として長年地元のことを報道し続けた信頼があるからこそ、これだけの情報をスタート時に集めることができたのだろう。

 とはいえ、官公庁や企業の発表情報を元に制作できる異動情報とは違い、人物データベースを構築・運用する場合、一回調べたら終わりではなく、その後も異動や選挙のたびに定期的にアップデートしていく必要がある。個人情報を記入するアンケートに継続して答えてもらうための体制を維持していかなければならず、メンテナンスにかかるコストは膨大だ。月額5,400円は高額だが、それに見合うだけのデータベースを作ろうという意欲には並々ならぬものを感じる。他社には絶対に真似できない、香川県でビジネスを行う上で必要不可欠な存在になることを目指す決意表明としての金額なのだろう。

 また、ネットサービスの場合、一旦始めた価格を下げるのは簡単だが、値上げはよほどのサービスや機能の向上がないと難しい。サービス内容と会員数と運用コストをバランスにかけながら、最適な戦略を探っていく方針のようにも感じる。低価格もしくは無料のデジタルサービスで現読者の維持とリーチの拡大を狙う各社の戦略に対し、価値ある情報を相応の対価でという一石を投じた取り組みと言えそうだ。

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*1:中日新聞プラス、新潟日報モア、どうしん電子版、北日本新聞Webunなど

*2:神戸新聞NEXT、山梨日日新聞電子版、福井新聞D刊など