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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売、朝日がニュースサイト開設20周年 歩みを振り返る特集公開

 今年2015年は読売新聞と朝日新聞がそれぞれニュースサイトを開設して20年となる。ニュースサイトを立ち上げたのは読売のほうが少し早く1995年6月10日。朝日はその2カ月後の8月10日にサイトを開設した。節目となる年を迎え、それぞれ20年の歩みを振り返る特集コンテンツをウェブサイト内に開設している。

 読売は少し前の2015年6月10日に「ヨミウリ・オンライン(YOL)20周年」を公開。20年の変化を、年ごとの象徴的なニュース写真と当時のYOLトップページ画像、さらに文章も多面的に組み合わせた「イマーシブ(没入型)」コンテンツとしてまとめた。

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 また、歴代担当者による座談会や、50人に賞品が当たるヨミウリ・オンラインに関するクイズ(応募は7/31で終了)、2003年以降でよく読まれた記事ベスト50などのコンテンツ、著名人によるお祝いメッセージを掲載している。

 朝日は8月10日に「朝日新聞デジタルクロニクル」を公開。20年の歩みをタイムライン形式で表示し、オープン当時のトップページを再現したり、ロゴの移り変わりやオリンピック速報、新規サービスの導入などそれぞれの年に実施した企画を解説している。時折、それぞれの企画やコンテンツの担当者が当時の舞台裏を語っており、サッカーW杯の全試合をテキスト速報で実況したことや、米中枢同時多発テロでの混乱と奮闘ぶりなどの苦労話が語られている。8/24現在は2010年までを読むことができ、以降は9月7日に更新されるとのこと。

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 中にはかなりぶっちゃけ気味のものもあり、例えば「アサヒ・コム絶滅サービスコレクション」では、サービスを終了したものがまとめられており、ポイントキャスト*1やブラウザツールバー、のように、古くからネットに関わっている人間にとっては懐かしく感じられた。また、ソーシャル(ツイッター)のデビューの項目では、2009年のサッカーW杯アジア予選の際、入社2年目の担当者がツイッター担当に任命された理由が「部署で最年少で、Twitterを使っている同僚が他にいなかったから」という単純ものであったことや、ルールに無知で前半終了を試合終了と勘違いしてツイートしたこと、その後Twitterのオフ会で出会った人と結婚したことまで綴られていた。

 いわゆる内輪向けのコンテンツではあるが、ニュースサイトの歴史をたどるコンテンツとしては非常に興味深く読むことができた。日本を代表する新聞社であり、ニュースサイトとしても日々多くのユーザーを集める両社の担当者がこの20年、どんなことを考え、どのような日々を送ってきたのか振り返ることができる。

 どちらも優等生的な無難なまとめではあるが、朝日は時に失敗談を交えて面白おかしく振り返ったり、かなり担当者の感想や主観を強く出した読み物を掲載している。外部に出すコンテンツでここまで語っているのだから、社内的にはより深く突っ込んで考察した蓄積があるのではないだろうか。デジタルで様々な取り組みを積極的に取り組んだだけに、成功体験も失敗事例も他社より多いのではないだろうか。成功も失敗も含め、これまでの20年の経験が今後に生きてくることを引き続き期待したい。

*1:まだ常時接続が一般的でなかった時代にプッシュ型で情報配信を行ったサービス。朝日は100万ドルを出資していたとのこと