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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞がオープンデータ推進 政務活動費や国会議員資産の集計CSVを公開

 朝日新聞が取材の過程で収集・蓄積・集計されたデータを、ウェブ上で積極的に公開する取り組みを始めている。3月には昨年発覚した元兵庫県議によるずさんな政務活動費の支出を機に、情報公開制度を利用して2012~13年度の全国47都道府県の議員の収支報告書や領収書を入手して集計。ずさんな支出の実態や課題、各都道府県別に疑問点や問題点を記事で指摘するとともに、沖縄を除く46都道府県の政務活動費データをCSV形式でダウンロードできるようにした。 また、5月25日には昨年の衆議院選挙で当選した国会議員475人の資産について、資産公開法に基いて公開されたデータをCSVファイル形式で一括でダウンロードできるようにした。普通預金や家族名義の資産は公開対象とされないなど法律が形骸化しているとの指摘もあるが、一方で「資産ゼロ(土地、建物、預貯金なし)」の議員が過去最高の74人となり、立法の趣旨が実態にそぐわないことがますます明らかになって来ていることが読み取れる。

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 これらの取り組みは「オープンデータ」と呼ばれる最近のトレンドの影響が色濃く感じられるものとなっている。オープンデータとは、行政や民間機関が保有するデータを、

  • 商用を含め二次利用が可能で
  • WordやExcelなど特定の商用フォーマットに依存せず
  • 画像やPDFではなくCSVXMLのようなコンピューター判読に適した形式で

公開することであり、主に行政の保有するデータを開放・活用を進めていく文脈で使われる。これまでの情報公開制度のように「問い合わせを受けデータを公開する」受け身の立場ではなく、最初から利用しやすい形でデータを公開することにより、企業や市民がデータを活用してビジネスや地域活動に役立てていることを目指している。

 政務活動費の取材・分析では、朝日新聞は全国の総支局網を活用し、計63万枚におよぶ収支報告書や領収書、3万枚を超える都道府県議が関係する政治団体の収支報告書と領収書類などを収集した。それらのデータを集計・分析する中で、取材の過程で作られたデータの一部をウェブで広く公開している。

 国会議員の資産公開では、衆議院の議会事務局に行かなければ閲覧できない報告書に記載された数字を入力してデータ化、広く再利用しやすい形で公開。朝日新聞デジタル編集部の古田記者がツイッターでビジュアライズ(可視化)などの二次利用を呼びかけたところ、さっそく呼びかけに応じ、データを利用して各議員を政党別に色分けしたツリーマップで表示された方がいた。素材データをを提供することで、社外の専門家や研究者も関与できるようになった好例だ。


 報道機関が取材の過程で収集したデータを、二次利用を前提に使いやすい形で公開するという試みは画期的だ。本来であれば議会事務局自ら電子データ公開をすべきではあるが、公開される側にとっては反発も生みやすい種類の情報であることも確か。だからこそ「知る権利」の付託を受けた報道機関が役割を果たす意義があるのではないだろうか。

 総務省が推進するオープンデータ戦略でも、意義の一つに「行政への透明性・信頼性の向上」が挙げられている。だが、どうしても注目が当たるのはビジネスでの活用や行政コストの削減といった効果が見えやすいところだ。現実問題として行政としても保有する膨大なデータを限られた人手で公開する以上、公開しやすくニーズがあるものが優先されることは仕方ない面がある。データの活用が今後急速に進んでいくことは間違いなく、報道機関は行政とは違った視点でデータを公開していく役割を果たすことができる。大量に集めた情報を1日の紙面のためだけで終わらせるのではなく、多くの人がより活用しやすい形で提供していくことが、報道機関への信頼性を担保することにつながる可能性もある。

 日経も5月18日に公開した「ニッポンに住む外国人の素顔」という日本と海外の人の行き来をビジュアライズしたコンテンツで、制作に利用した元データをExcel形式で公開した。今後データのビジュアライズと元データの提供はセットになっていくのではないだろうか。vdata.nikkei.com