読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日・渡辺社長「デジタル有料会員数は23万。目標は50万」

メモ

 2015年5月1日付の業界紙・文化通信に、昨年12月に就任した朝日新聞・渡辺雅隆社長のインタビューが掲載された。読者の声をより紙面に反映させるため4月から始めた「パブリックエディター制度」や、東京五輪を見据えて新たに「スポーツ戦略室」を設置するなど、就任半年を経過して信頼回復と再生のために始めた取り組みについて語っている。

 その中で、久しぶりに朝日新聞デジタルの有料会員数について触れた部分があった。以前にも取り上げた「編集部門の新会社構想」と合わせて、該当部分を引用する。編集部門の新会社準備について、「新聞事業を持続可能な形にするという狙い」は長期的なコストの削減を意味していると理解するのが普通だろう。

f:id:edgefirst:20150508185517j:plain

 ――編集部門では2016年に編集新社の設立を目指しているとのことですが。
 16年春に向けて準備を進めています。当社の校閲やデザイン部門は高い評価をいただいています。その技術を生かし、新たな事業へと仕事の領域を広げていくことができないかと考えています。長期的な視野に立って、新聞事業を持続可能な形にするという狙いもあります。

 ――デジタル事業については、どのようなお考えですか。
 紙の新聞がなくなることはないにせよ、業界全体としては人口減少などの影響で発行部数の減少が続くことは覚悟しなければならないでしょう。その中で、どれだけのシェアを確保できるか、しっかりと対策を立てていきます。
 一方、若い人たちのメディアやニュースへの接触の仕方がこれだけ変わっている中で、デジタルの重要度はさらに高まっていきます。現在の「朝日新聞デジタル」は有料会員数が23万で、無料会員数も200万人超です。広告媒体としての価値を高めるためにも、まずは有料会員数50万をめざします。デジタルならではのコンテンツをさらに増やし、デジタル技術を駆使したニュースの伝え方なども一層、工夫してきます」
 (2014年5月1日付文化通信より)

 しばらく発表がなかった朝日新聞デジタルの有料会員数だが、久しぶりに数字が公表された。日経電子版が2012年6月以降、半年ごとに電子版の購読数(紙面併読と単独の内訳など)を公表しているのと比べると、朝日新聞デジタルはなかなか有料会員数が明快に出てこないのが現状だが、過去の記事をもとに並べてみるとこんな感じである。多少上下がありつつも、右肩上がりで有料会員数が増加していることがわかる。

年月日 会員数 備考
2011年5月18日 創刊
2011年6月 2万8千 株主総会での報告
2011年10月 約3万 業界紙での秋山社長インタビュー
2012年1月 7万弱 業界紙での秋山社長新年インタビュー
2012年10月 5-6万の間 新聞大会での木村社長発言
2013年3月5日 10万 木村社長がYoutubeでお礼メッセージ
2014年1月 約12万5千 木村社長の新年あいさつ
2014年5月19日 16万 創刊3周年
2015年5月 23万 業界紙での渡辺社長インタビュー

 2013年以降、比較的順調に伸びているのは、2013年2月から頻繁に紙と併読の半額キャンペーン(半年単位での契約を約束することで、紙面とデジタルのセット料金を月1000円から500円に割り引く)を行っていることが影響しているのだろう(参考)。今年も2月1日から4月10日まで実施しており、価格を柔軟に設定できるデジタル商品の強みを生かした戦略といえる。

 また、1日3本まで有料記事を読める無料会員も200万人超えとなっている。いつの間にか独自のIDだけでなく、TwitterFacebookのアカウントを使ってログインできるようにもなっており、登録の敷居が下がったようにも感じる。

 ちなみに、社長自身も朝日新聞デジタルを愛用しているようだ。

 ――渡辺社長自身はタブレット端末等を使っていますか?
 はい。いつも枕元に置いておき、朝起きた時はまず、タブレット端末で朝刊の内容を確認します。それからじっくり紙の新聞を読む。デジタルだと東京以外の他本社版の紙面イメージも見られますから。私は大阪の勤務が長かったこともあって、どうしても大阪の紙面も気になってしまうのです。
 (2014年5月1日付文化通信より)

 やはり自分で使ってみて「便利だ」と実感するからこそ、思いも強くなるのだろう。日経電子版が4月23日に有料会員40万人を突破したことを発表したが、渡辺社長も“50万人”という明確な数字を打ち出している。

 紙の部数では苦境が続き、週刊新潮で本社から販売店への請求における実際の売れ具合を示す「発証率(実売率)」の内部資料を暴露されるなど、依然として社内情報管理に課題を残す朝日新聞だが、デジタルではもうしばらく右肩上がりの数字を見ることができそうだ。