edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経テレコンが「新聞トレンド」開始 全国80紙からキーワード含む記事件数を可視化

 株式会社日本経済新聞デジタルメディア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉岡 昇、以下「日経デジタルメディア」)は、関心のあるキーワードが全国の新聞記事でどのくらい取り上げられているかを簡単にチェックできる検索サイト「新聞トレンド」を4月20日(月)にリリースしました。全国紙から業界紙・専門紙まで日刊紙約80紙に掲載された過去5年分の記事を検索し、キーワードを含む記事本数を分かりやすくグラフ表示します。
 注目のイベント、話題の人物、新語や新製品が新聞紙面に登場した件数(記事本数)から、ニュースバリューの高さやトレンドの変化を知ることができます。ライバル同士を比べてみたり、前の年と比較してみたりと、いろいろな使い方をパソコンでもスマートフォンでも手軽にお試しいただけます。
新聞記事でトレンドをウォッチ 無料検索サイト「新聞トレンド」を公開|株式会社 日本経済新聞デジタルメディアのプレスリリース

 ビジネス向けデータベースサービス「日経テレコン」を運営する日本経済新聞デジタルメディアは4月20日、任意のキーワードを含んだ記事が全国の新聞記事にどのくらい登場したか、簡単な操作でチェックできる検索サービス「新聞トレンド」の提供を開始した。4月20日現在、全国紙4紙、地方紙49紙、業界紙・専門紙27紙、スポーツ紙4紙の計84紙の記事の過去5年分の記事が対象となっている。例えるなら「新聞社版Googleトレンド」とでも呼べるサービスだ。

ntrend.nikkei.co.jp

 使い方は非常に簡単で、調べたいキーワードを3つまで入力して検索ボタンを押すと、そのキーワードを含む新聞記事の件数がグラフで表示される。グラフ表示は5年間、1年間、3カ月、2週間を動的に切り替え可能。グラフはそのまま印刷したり、PNGJPEGといった画像ファイルや、少々マニアックなSVG形式*1に出力することもできる。
 
 例えば、2011年から2013年のAKB48選抜総選挙でトップ3となった前田敦子大島優子指原莉乃の3人について、過去5年で検索すると以下のグラフが表示される。それぞれファン投票1位となった時期や、卒業が発表された時点で記事件数が大きく伸びていることがわかる。

クリックで結果を表示
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 また、検索したキーワードを含む記事の掲載本数が多い上位3紙と記事本数も表示される。AKB48関連のキーワードでの結果は日刊スポーツが他のスポーツ紙を大きく引き離しており、特に力を入れて報じていることがわかる。

 入力時や入力後にはキーワードの候補や関連キーワードが表示される。これは日経デジタルメディアと言語理解研究所が共同開発した自動記事分類エンジン「T-laei」で抽出している。例えば、「ライオン」と入力すると、「会社:ライオン」「一般:ライオン」というキーワード候補を表示し、会社と動物のライオンを区別し、検索結果の精度を高めることができるとのことだ。

 なお、全国80紙以上が対象となっているが、媒体一覧によると朝日新聞が入っていない。おそらく日経デジタルメディアから各媒体に「新聞トレンドの対象としていいか」という意思確認があり、朝日新聞が承諾しなかったのだろう。

 5年という期間の制約はあるが、そのキーワードがいつ使われ始めたか、いつ盛り上がったのかを調べることが簡単にできる。例えば「自撮り棒」や「壁ドン」をキーワードに入れれば、いつ頃から新聞紙面でも使われ始めたのか一目瞭然だ。Googleトレンドを使えばネット上でそのキーワードがどの程度注目されたか傾向はつかめるが、新聞に載るようになったいう段階をより広く注目されるようになった時期と捉えることもできるだろう。全国紙や地方紙、スポーツ紙、業界紙など、様々な媒体から記事データを預かっている日経テレコンならではのサービスだ。

 検索結果はツイッターフェイスブックに簡単に投稿できるようになっている。「みんなの注目トレンド」で、たぶん日経の中の人がセレクトしたであろう「Negicco(新潟県のご当地アイドル)」や「上場廃止」×「新規上場」といったトレンドを紹介しているが、ユーザー自身に検索結果を投稿してもらい、リツイート数が多い検索結果(多くのユーザーが「面白い」「なるほど」と思った結果)にちょっとした賞品を出す、みたいな企画を通して「新聞トレンド」自体の周知を図るといったアイデアはすぐ思いつきそうな気がする。

 日経テレコンは実際に利用すると月額8000円の基本料金に加え、1件閲覧のために見出し5円、記事本文100円が相場。記事2本を探して読むだけで新聞1部の値段を超えてしまう世界であり、普通の人には気軽に使えない。それがこのように無料で使える敷居の低いサービスを提供したことは興味深い。日経テレコン自体の認知度の向上も目的だろうが、電子版のオプションとして気になった検索結果の詳細を見たい時だけ従量課金で表示できるようなサービスも検討しているのかもしれない。

*1:XMLをベースとしたベクトル型のグラフィックデータ