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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

神戸新聞、震災20年を前に特集ページ一新 スマホ対応、新たな表現技法も

神戸新聞社は、阪神・淡路大震災から20年になるのを前に、9月1日から電子版「神戸新聞NEXT」の震災特集ページを一新した。同特集は全ページを無料で公開。グラフや写真をふんだんに盛り込み、読者と一緒に震災を考える場を目指す。
 特集ページの主な内容は、一つは「データで見る阪神・淡路大震災」で、既存のデータページを改修し、被害の概要、ボランティア、まちづくり、心のケアなど12ジャンル約30点のグラフ・図表で震災を伝えている。
 もう一つは「年表でたどる阪神・淡路大震災」。被災地の出来事を1995年は前後半に分け、翌年以降は1年ごとに紹介。重要ニュースは写真をつけて概要を記した。(中略)
 今後11月には、地図上の被災家屋などの写真と復旧した現在の写真を合わせて表示することで、町がどう変わったかを伝える「震災マップ編」、被災体験のない若い人たちが記者と一緒に被災者らを取材しながら、自分にとっての震災や語り継ぐことの意味を考える「若者編」の二つのコンテンツを新たに公開する予定だ。
(2014年9月8日付文化通信より) 

 神戸新聞社は9月1日、来年の阪神・淡路大震災から20年という節目の年を前に、ウェブ上でも震災の記憶と復興の軌跡を振り返ってもらえるような企画の第一弾として、9月1日より電子版「神戸新聞NEXT」の震災ページを一新した。

【特集】阪神・淡路大震災 | 神戸新聞
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 メインコンテンツとして、震災関連の出来事や時代背景を1年ごと(発生の1995年は前半・後半)で俯瞰して読むことができる「年表でたどる阪神・淡路大震災」や、被害と復旧・復興の動きをグラフや図解でまとめた「データでみる阪神・淡路大震災」を公開している。スマートフォンにも対応し、ウェブブラウザのスクロールに合わせてテキストとグラフィックが連動して表示される手法(パララックス)を利用。テキスト・写真・グラフィックと動きを組み合わせた表現で読者に訴えかけている。

 これまで朝日新聞の「ラストダンス」「吉田調書」や、毎日新聞の「数字は証言する データで見る太平洋戦争」「ビジュアル年表 太平洋戦争」など、全国紙で徐々に採用されてきたウェブ上の表現技法が、地方紙にも着々と波及しているようだ。

 また、「まちの譜 ― 被災地 20年前と今」というコーナーでは、過去と現在の写真をスムーズな操作で切り替えて比較表示することとができる。ウェブならではのインタラクティブな表現技法だ。

 このほかにも、紙面に掲載された震災に関するニュースを日々更新。これまで掲載してきた過去20年分の震災関連の企画・連載記事も引き続き読むことができる。20年という長い年月、報じ続けてきたことに圧倒される内容だ。地元に密着した新聞社ならではの取り組みと言える。

 神戸新聞は今年1月から、facebookに「震災アーカイブ」を開設。1995年のあの日に何があったのか、日めくりで写真を紹介している。震災の記憶を風化させることなく、後世に伝えていこうという使命感を強く感じる取り組みだ。自らも被災者として苦しんだ経験があり、その教訓を少しでも多くの人に伝え、継承したいという思いがあるからこそ、直接収益につながるわけではなくとも新しい技術や表現技法も積極的に取り入れたり、ソーシャルメディアでも積極的な情報発信を続けているのだろう。

 今回のリニューアルは第1弾とのことで、来年1月17日に向けまだまだコンテンツが準備されている。地方紙だからこそできるウェブ上での情報発信や表現技法の工夫を、引き続き期待したい。