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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経電子版、公式ニュースまとめ「超サクッ!ニュースまとめ」開始

 日々追っていないとわかりにくい話題を、日経の編集者が1本の記事に簡潔にまとめて提供します。
ニュースの概要がサクッとわかる吹き出し風の要約文の下には、元になった記事の見出しが表示されています。より詳しく読みたい場合はその見出しをクリックすると、電子版などに掲載された記事の本文が表示されます。
 超サクッ!ニュースまとめ記事の一覧は「 日経電子版TOP>Web刊>特集>ニュースまとめ 」から
超サクッ!ニュースまとめ|日経電子版 広報部

 日本経済新聞電子版に「超サクッ!ニュースまとめ」という特集コーナーが8月7日から新たに加わった。原則として平日の夕方、1日1本程度更新され、読者が興味や疑問を持ちそうなテーマを選び、ポイントとなる部分を過去の記事から簡単にまとめ、詳しく読みたい場合用にリンクをつけて一本の記事に仕立てている。日経自身の記事を素材に再構成した、オフィシャルな「ニュースまとめ」だ。まとめ記事は会員登録しなくても閲覧可能だが、リンク先となる記事はログインを求められるケースが多い。

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 すでに掲載されているまとめとしては、「長期金利0.5%割れ、生活や経済への影響は」「エボラ出血熱の感染拡大 なぜ止められないのか」のように、時事ニュースの背景や原因、今後の課題や影響などを簡潔ににまとめている。このまとめ記事があれば、続報記事の目立つ場所からリンクすることで、本文での背景や経緯などの説明を抑えることができるだろう。日経だけに経済関連のテーマが多いが、一般紙の社会面に載るような事件・事故報道でも活用できそうだ。

 スタートに合わせ、「スタートキャンペーン」が始まっている。9月30日(火)までの期間中に「超サクッ!ニュースまとめ」の記事を3本以上読み、会員登録して応募することで、タブレットやノンフライヤー調理器、BDレコーダーなどの賞品が当たるというもの。なお応募は無料会員でも可能だ。

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 ある記事への関連を示す際、単純に記事の下に「関連記事」として見出しを羅列するだけより、背景や原因を簡潔にかみ砕いて説明し、詳細へのリンクを組み合わせた方が読者の理解ははるかに高まる。新たな取材も基本的に必要ないため、低コストでの記事生産も可能だ。「NAVERまとめ」のようなキュレーションサービスに影響を受けた、ネット発の考え方を電子版編集に生かしたコンテンツと言える。

 面白いのはほぼ同時期に朝日新聞も新サイト「withnews(ウィズニュース)」で同じようなまとめ記事を掲載し始めていること。例えば今が旬の高校野球に関連し、「奇跡の返球、サヨナラボーク…名勝負から始まった3つの『その後』」「甲子園の魔物とトモダチになった男 代打・今吉って誰よ?」といった記事を掲載している。

 高校野球を楽しむための読み物として十分なクオリティだが、よく読むと内容はほぼ過去に朝日新聞に掲載された記事や写真をリライト・再構成したもの。見出しのセンスや記事公開のタイミングなど、“話題になること”を意識した、ネットの文脈に合った「編集」を、新聞社ならではの過去の資産をフル活用して行っている。

 日経電子版が始まって半年ほど経過した頃、社内からの不満としてこんな声が記事に取り上げられたことがあった。

「ニュースをクリックすれば関連記事が読めるサービスのため、過去の記事から関連しそうな内容のものを探しては、ひたすら画面にコピーして貼り付けるような仕事に異動させられた人もいる。それが本当に新聞記者のする仕事なのか」
新聞記者たちの不安を聞きに行く 【第二回】 日経新聞記者たちの小さな怒り| 現代ビジネス

 「記者一筋」を誇りにしてきた人にとっては、過去のスクラップをめくってコピペするだけのいわゆる「レベルの低い」仕事に思えたのだろう。しかし、ネット上で圧倒的なアクセスを集めるヤフーニュースは、あるニュースについての関連情報を膨大な情報が溢れるインターネットから人の手で探してきて、記事と一緒に貼り付けることで利用者の理解を助けるということをほぼ24時間体制で行っている。それがネットメディアに適しており、多くの人の支持を受けた。このスタイルをベースに、過去の資産を活用すれば、良質なコンテンツを比較的低コストで提供できることに気付き、相次いで導入しているのではないだろうか。

 次の展開としてはこういった「まとめニュース」の外部配信か。日経は大手ポータルサイトなど外部サイトへの記事配信を基本的に行っていないが、こういったかみ砕いた記事をポータルや、GunosyやSmartnewsなど昨今隆盛著しいスマホ向けニュースアプリ向けに配信し、詳細記事リンクによる流入や媒体名の浸透を狙うというのは十分ありえる*1ポータルサイトにしても、時事ニュースの背景や今後の課題がコンパクトにまとまった記事があれば、関連情報としての価値は高いものがあるだろう。

 個人的には、リンク先となるリソースを自社に限らず、公的機関や企業の発表資料などの一次資料へ広げていってもいいと思う。特に、海外のトピックについてそういったものがあれば、従来のキュレーションサービスとは一線を画すことになり、より重宝されるだろう。

*1:ちなみに朝日新聞のwithnewsは8/20よりYahoo!ニュースへの配信を開始し、ネット上で大きく話題になった春日部共栄高校の『おにぎりマネジャー』への独占インタビューが早速ヘッドラインに掲載された