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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞、新聞協会賞にデジタル報道「ラストダンス」「吉田調書」を応募

 新聞協会賞の応募作品がこのほど出そろい、協会は機関紙「新聞協会報」などで公表した。応募数は合計59社90件。そのうち「ニュース」「写真・映像」「企画」の3部門に分かれる「編集部門」が48社79件を占めた。編集部門のうちニュースは13件、写真・映像は12件、企画は54件だった。また「技術部門」は1社1件、「経営・業務部門」は10社10件だった。
 運営委員会で構成する選考委員会は9月8日に行われ、10月15日、新潟市で開かれる新聞大会で贈賞する。
(2014年7月12日付新聞情報より)

 その年の新聞(通信・放送も含む)の全体の信用と権威を高めるような活動を促進することを目的として設けられた「新聞協会賞」の応募作品が出そろった。一応、日本のマスメディアの中では一番権威がある賞という位置付けであり、世の中に大きなインパクトを与えた報道活動に対して毎年贈られる。ちなみに昨年(2013年)は、「手抜き除染」一連のスクープ(朝日新聞)、柔道女子代表の暴力・パワーハラスメント問題のスクープ(共同通信)、深海の超巨大イカの世界初撮影(NHK)などに贈られている。

[応募作と概要一覧]⇒平成26年度 新聞協会賞 編集部門 応募作品|日本新聞協会

 編集部門の応募作品は日本新聞協会のウェブサイトに掲載されているが、その中で朝日新聞が今年前半にインターネット上で大きく展開した2つのデジタル報道が応募作品となっていたことが目を引いた。写真・映像部門にはフィギュアスケート浅田真央選手のソチ五輪の演技と彼女の足跡を、さまざまなウェブ表現を駆使して構成した「ラストダンス」。企画部門には政府が非公開としていた東京電力福島第一原発所長・吉田昌郎氏の政府事故調査・検証委員会の聴取記録を新聞紙面・ネットで詳細に検証・解説した「吉田調書」が応募されている。

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「吉田調書」が、いわゆる「スクープ」を扱うニュース部門への応募ではなかったが、これは朝日が別にニュース部門で「徳洲会から猪瀬前東京都知事への5000万円提供」のスクープを応募していたことや、「非公開資料の入手」の意義は高いものの、現場の一証人による聴取記録という性質上、その内容単体でニュースとなる新事実を摘示しにくい事情があるのだろう。

 すでに海外ではオンラインメディアやデジタル報道がジャーナリズムに関連する表彰を受けるることは珍しくなくなったが、いよいよ日本にもその流れが生まれることになるのだろうか。いずれもデジタルならではの表現力および拡散力により、ニュースの価値やストーリーを一層際立たせることができており、ジャーナリズムの新たな可能性を提示するには十分な取り組みであったように感じる。今年の新聞協会賞が、デジタル報道の第一歩を示すことになるのだろうか。

 個人的には「吉田調書」よりも「ラストダンス」の方が若干有利と予想する。前者が朝日新聞デジタルの会員でなければ全文を読めなかったのに対し、後者は登録不要で全てを閲覧でき、Twitterfacebookの拡散力を最大限に活用できた。フリー演技終了後24時間以内の興奮冷めやらぬ時に第1部を公開できたのも大きい。また、前者が検証・解説に重点を置き、深く読み込まなければ評価できないのに対し、後者は直接に感性に訴えるものであり、ウェブ表現の豊かさを誰でも感じ取りやすい。9月8日の発表を楽しみに待ちたい。