edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞、大雪でPDF特別紙面制作 販売店に直接ネット配信

 朝日新聞社は、14日から15日にかけて東日本の広い地域を襲った大雪で、新聞輸送トラックが渋滞に巻き込まれるなどして配送が困難になった地域が出たことから、降版の大幅繰り上げや特別輸送などのほかにも特別な対策をとった。幹線道路の閉鎖や渋滞などで輸送トラックが入れなくなった地域の読者向けに、16日から連日、主要紙面と関係地域面で「PDF特別紙面」を制作し、販売店網で取り出して印刷できるASAネットに掲示し、活用してもらった。特に山梨、長野両県向けとしては、各地域面やラジオテレビ番組面もPDF化した。
(2014年2月21日付新聞之新聞より)

 先日の大雪で、配達不能地域が出た新聞社がウェブサイト上に紙面の一部をPDFファイルでアップしたり、紙面ビューアを無料開放して公開した例を紹介したが、朝日新聞社は発行本社と販売店間のネットワークも活用した紙面データの提供も行っていた。具体的には、本社と販売店間のグループウェア「ASAネット」を活用し、本社側で制作した紙面をPDFファイルでアップロード。販売店側でダウンロードすることで、新聞が届かなくても一部の紙面を印刷し、活用を呼びかけた。
 
 ネットに慣れた世代からすれば、ウェブサイトにPDF紙面をアップするのとどこが違うのか疑問に思うかもしれない。しかし、新聞の主購読層である高齢者にはパソコンやスマートフォンを使ってPDFファイルを見ることができない読者も多い。そういった人々に対し地域の販売店がPDFファイルを印刷し持っていくことで、安心感を与えることができるだろう。リアルタイムで変化する情報とは別に、紙に固定化された方が適している情報も存在するのではないか。

 こういった取り組みは地方紙にとっても参考になる事例だろう。地方紙は一般に県内でのシェアが高く、販売店数も全国紙に比べ多い。災害時に「紙」と「配達網」をどう活用していくか、いろいろなアイデアが考えられそうだ。