edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

西日本新聞経済電子版、社長直々にキャッチコピー募集 賞金30万円

 先月(9月)下旬、西日本新聞の九州経済に特化した有料サイトqBiz(西日本新聞経済電子版)のサイト内に、以下のような意味深な告知ページが掲載されていた。
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 黒いバックに、「2013年10月1日 重大な発表を致します 西日本新聞社代表取締役社長 川崎隆生」と書かれ、社長がカーテンから覗いているという写真で構成されたインパクト抜群のページである。「Facebookにいいね!して続報をお待ちください」と、Facebookページの宣伝があるだけだ。発表する情報を絞ってユーザーの関心と飢餓感を煽る、村上春樹の新刊発売をやや彷彿させるPR手法である。
 そして10月1日、以下のページが公開された。
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 ついに社長が、動きました。
 qBiz(西日本新聞経済電子版)の認知を広めていただく、キャッチコピーを全国公募します(海外含む)。
 プロ・アマ、年齢は問いません。
 グランプリ作品は、賞金30万円の贈呈に加え、次期qBizプロモーションに採用させていただきます(入賞作にも賞金・特典)。
 媒体の「顔」でもあるコピーを公募するのは、西日本新聞社でも異例です。
qBizキャッチコピーコンテスト:qBiz 西日本新聞経済電子版 | 九州の経済情報サイト

 qBizの創刊1周年を機に、「もやもやを晴らしたい」という率直なメッセージと苦悩する川崎社長の顔写真とともに、ユーザーに対し西日本新聞経済電子版qBizをPRする斬新なコピーを募集している。旧来の新聞社の「上から目線」とは180度異なった、新聞社の発想にとらわれずユーザーから広く教えを請いたいという姿勢を鮮明にしている。
 ページには現在のキャッチコピー(「ビジネスに必要なことはqBizが教えてくれる」)や、サイトの目指す目的や概要、現状の課題などがまとめられており、キャットコピーを考えるための資料としては過不足ない情報が揃っている。また、qBizスタッフによる案なども紹介されており、ただユーザーから募集を募るだけでなく、スタッフも一緒になって真剣に考えているということをアピールしている。
 賞金も30万円とこの種の募集ものとしては高額。プロ・アマや国内国外問わず募集でき、何作品でも投稿できるということなので、腕に自信のある方は応募されてはいかがだろうか。締め切りは10月31日17時までで、ウェブ経由で応募できる。応募はコチラのページから
 朝日新聞の木村社長(Youtubeで朝日新聞デジタル有料会員10万人突破をお礼)や下野新聞の観堂社長(facebookで質問を募集し本人が動画で回答)など、最近はトップ自らがウェブ上に積極的に露出し自社サービスをPRするケースが増えているが、西日本新聞の「腰の低さ」はその中でも群を抜いている。認知度が高まらず、会員数が増えていないことをトップが素直に認め、新聞社の発想では打開できないという「弱さ」を公に認めた上で、ユーザーの声に耳を傾けるというのはかなり斬新なプロモーション手法である。
 そういえば西日本新聞は先日、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を社員が踊ってみた動画を新聞社としては初めてアップ(マスコミとしては九州朝日放送に続き2番目)していた。サイバーエージェントや佐賀県庁などが有名どころのこの企画。正直なところ他社と比べるともう少し練習し、編集も手を入れたほうが良かったのではないかとも思わないでもない出来だったが、こういうネットを使ったプロモーションに積極的な姿勢が社内に浸透しつつあるのではないかと感じた。