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産経新聞、整理・校閲部門を一部分社化 社員は出向

 産経新聞社は10月1日、整理や校閲などを行ってきた編集局の一部を分社化し、「(株)産経編集センター」を新設した。産経本社は新会社に本紙県版の整理・校閲、SANKEI EXPRESSやフジサンケイビジネスアイの整理などを委託する。
 これまで編集局にあった編集センターでは、本紙企画広告の取材・割付や県版の整理・校閲、本紙の校閲、EXなど他媒体の整理などを行っていた。それらを担当していた社員、産経総合印刷の百数十人が新会社に出向の形で移る。産経広報部では「新会社に移行することで、整理・校閲部門などの専門家をしっかりと育成していくことが狙い。産経本社を身軽にするのも目的の一つ」としている。
 (2013年10月7日 文化通信より)

 10月の組織改革で、産経新聞社が整理部門の一部と校閲部門を分社化した。今まで編集局にあった「編集センター」を新会社に移管し、産経新聞の県版(地方版)やSANKEI EXPRESSやビジネスアイといった他媒体のレイアウを担当する整理部門および、校閲部門全般を担当する。
 他社でも校閲部門はアルバイトや派遣・契約社員など、正社員以外の雇用体系が多い部署ではある。また、文化通信の記事を読む限り、産経本紙(ニュース面など地方版を除く産経新聞の紙面)のレイアウトは新会社が担当せず、産経本社の編集局がそのまま担当するようなので、整理部門全体を分社化するということではないようだが、それでも新聞社にとって「聖域」と見られていた編集局の一部を分社化するというのは相当大きな決断だったように思える。早期退職制度や増資、支局網の縮小など、様々な手を打ってきた産経だが、いよいよ中枢にリストラの手をつけざるを得ないのか、というのが正直な感想だ。
 広報から「本社を身軽にするため」というコメントが出ているが、今や産経にとって、記事を一つの紙面の中にまとめるレイアウトの価値(一覧性)よりも、ネットで個々の記事をコンテンツとして閲覧してもらう方の優先度が高くなっているのかもしれない。デジタル媒体では限られたスペースである一つの紙面に記事を切り貼りして押し込んだり、文字数の制限に苦しむこともない。一つ一つの記事内容を充実させ、そこにいかに速く、シェア(リンク)されやすく、関連記事・情報などの付加価値を付けていくかが求められる。経営資源を集中させていく上で、より可能性の大きい方に賭けたという印象だ。
 「新聞制作会社」ではなく「コンテンツ販売会社」の方針を目指すことは、依然として紙中心の他の新聞社ではなかなかできることではないだろうが、デジタルでの積極的な事業を手がけているからこそ取れた戦略なのだろう。



 諸々の事情により、長期に渡りお休みをいただいておりましたが、ようやくブログを更新する余裕が少しずつできました。あいかわらず更新は不定期になると思いますが、ひっそりと見守っていただければ幸いです。