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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

毎日新聞、紙面審査委員会の議事録の一部をウェブで公開

 紙面審査委員会は、編集編成局から独立した組織で、ベテラン記者5人で構成しています。読者の視点に立ち、ニュースの価値判断の妥当性や記事の正確性、分かりやすさ、見出し、レイアウト、写真の適否、文章表現や用字用語の正確性などを審査します。審査対象は、基本的に東京で発行された最終版を基にしています。指摘する内容は毎週「紙面審査週報」にまとめて社員に公開し、毎週金曜日午後、紙面製作に関わる編集編成局の全部長が集まり約1時間、指摘の内容について議論します。ご紹介するのは、その議論の一部です。
>毎日ジャーナリズム:【紙面審ダイジェスト】19歳の容疑者の実名と顔写真− 毎日jp(毎日新聞)

 毎日新聞社が4月25日より、自社サイト毎日.jpの中の「毎日ジャーナリズム」というコーナーで、社内で開かれている紙面審査委員会の議事録の一部を「紙面審ダイジェスト」として公開している。
[アーカイブ]⇒紙面審ダイジェスト - 毎日jp(毎日新聞)
 紙面審査委員会とは、週1回金曜日に開かれ、編集局の全部長が集まって紙面の内容について議論をする場。そこでは発行された新聞紙面について、なぜこのような見出しをつけたのか、こういう価値判断にした理由は何かといったことが議論されている。読んでいると日々の新聞作りの裏側が垣間見ることができ、素直に面白い。それぞれ時間に追われながら、各担当者が悩みながら下した一つ一つの判断をうかがい知ることができる。
 例えば4月25日に公開された回では、4月2日のダルビッシュ有投手の完全試合まであと一人というところで、なぜ社会面や1面で大きく扱わなかったのかということをテーマに議論されていた。出身校や出身地の関係者、評論家にも取材していたが、結局達成できなかったということで、他にも鳥インフルエンザ選抜高校野球などの大きいニュースがあり、結局1面で扱うのを断念したという経緯がわかる。
 こうしたコンテンツは読者だけでなく、同業他社にとっても興味深いものだろう。楽屋裏の話を見せることは言い訳がましいと拒否感を持つ人もいるかもしれないが、おそらく同業他社も同じように紙面審査を行なっているはずだから、公開できる部分は広く公開していけば、読者にとっても論調を知る参考になるし、お互い切磋琢磨できるのではないだろうか。
 毎日ジャーナリズムのコーナーには他にも記者個人のツイッターアカウントを紹介したり、「校閲発」という間違いやすい表現や注意が必要な表現を豆知識的に紹介するコンテンツも用意されている。「校閲発」は毎日新聞の校閲グループによって運用されるツイッターアカウントであるが、文章を生業にする人にとっては有用なコンテンツであり、フォローする価値は高いように思う。
[アカウント]⇒毎日新聞・校閲グループ (mainichi_kotoba) on Twitter


 蛇足だが、毎日.jpはやたらと1ページの分量が少なく、続きを読むために「次へ」を毎回押していくのが少し面倒だ。分割することでページビューを少しでも稼ぎたいという気持ちはわからないでもないが、せめてもう少し1ページの文字量があってもいいのではないだろうか。読みづらいことこの上ない。