edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

西日本新聞が月2500円の学割価格導入 経済電子版「qBiz」も無料

 西日本新聞社は20日付朝刊で、九州在住の1人住まいの学生(大学院・大学・短大・専門学校・高専)を対象に、4月から購読料に学割定価を設けると社告した。朝夕刊で月2500円。申し込むと併せて「西日本新聞経済電子版(キュービズ)」を無料で閲覧することができる。
 購読期間は3カ月以上。申し込み時に販売所が学生証で身分を確認する。
(2013年3月26日付新聞協会報より)

 福岡を中心とする地方紙の西日本新聞が、2013年4月より学割価格の提供を開始した。通常の朝夕刊セット購読料が月3,925円のところ、約4割引きの2,500円(福岡以外のエリアでは朝刊月3,007円が2,000円)で購読でき、通常月420円(購読者は210円)の経済電子版「qBiz」が無料でついてくる。契約期間は3カ月以上となり、途中解約は不可。購読に伴うサービス品の提供はなく、帰省中などの一時止めの間も返金対応はしない。
[公式サイト]⇒西日本新聞 学割
 学割価格については朝日新聞が2年くらい前から始めており、他の地方紙でも北海道新聞が2012年10月から導入している。値段は朝夕刊セットで2,500円が相場で、西日本新聞もそれに倣っているが、九州経済に特化した電子版をセットにしているところが踏み込んでいる。スマートフォンやパソコンを使いこなす学生に対し、新聞を購読することで就職活動などで活用できることをアピールする戦略なのだろう。なお、qBizを利用するためには「西日本パスポート」への登録が必要。IDを登録することで、西日本新聞が提供する様々なデジタルサービスを利用できるようになり、先日スタートした西日本スポーツの電子版「西スポプラス」でも利用されている。
 若い世代へのインパクトという点では、「西スポプラス」をセットにしたほうが効果があったのだろうが、さすがにそれは理由をつけるのが難しかったのだろう。日経電子版が若い世代にも浸透しつつある中、「西日本新聞経済電子版」という名前も少しは学生の関心を引く効果があるかもしれない。
 新聞購読者に紙の3分の1以下の価格で提供する「西スポプラス」といい、学生に対する経済電子版の無料提供といい、こういった柔軟な価格展開ができるのはデジタルならでは。西日本新聞はデジタル単独で収益を上げるというよりも、紙の補助として活用するという姿勢を強く打ち出している。
 これらのデジタルサービスの基盤となる「西日本パスポート」は、共同通信社のプラットフォームを利用して構築されている。様々なデジタル商品を用意し、それを紙の読者に格安価格や無料で提供するという西日本新聞の取り組みは、他の地方紙に対しても一つの戦略として影響を与えそうだ。