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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

スポーツ紙による雑誌記事の発売前無断利用問題について各社の見解まとめ

 「スポーツ紙が雑誌の早刷りや広告原稿をもとにして取材・加工、剽窃(ひょうせつ)し、当該誌の発売前や当日に紙面掲載する事例が多い」などとして、日本雑誌協会(雑協)取材員会と加盟雑誌社10社13誌は1月25日、スポーツ紙6紙に対し、こうした行為の中止を申し入れたが、スポーツ紙はどのように受け止めているのか。
 (2013年3月11日付文化通信より)

 スポーツ紙による雑誌スクープ記事の発売前使用問題について、3月11日付業界紙・文化通信に続報が掲載された。雑誌協会側の申し入れを受けて、スポーツ紙各紙とYahoo!JAPANに各社の見解や対応を聞いている。記事全文は以下の電子新聞購入サイトから「立ち読み」可能。以下簡単に要点をまとめた。
[購入サイト]⇒2013年3月11日文化通信 - 新聞オンライン.COM

新聞名 回答
スポーツ報知 雑誌協会の担当者と協議中であり回答は差し控える
東京中日スポーツ 「具体的なケースについて調査した結果がある」とされるため「説明にきてほしい」と要請したが、1カ月近くたっても音沙汰なく対応のしようがない
デイリースポーツ 弊社が週刊誌記事を無断で使用したことなど一切ない旨を伝え、雑協側からも了解したとの返答を得ている
日刊スポーツ 回答なし
スポーツニッポン 回答なし
サンケイスポーツ 回答なし
Yahoo! これまでも出版社とは個別に話をしている

 デイリースポーツと東京中日スポーツは「身に覚えがない」と一蹴したのに対し、他の4紙はコメント無しという形になっている。やましいところがなければ堂々と「パクっていない」と言えばいいことなので、多かれ少なかれ身に覚えがあったと受け止められてもしかたない。
 なお、元記事には雑誌協会側の鈴木章一・雑誌協会取材委員長(講談社第一編集局長)のコメントも掲載されている。それによると、1月25日の申し入れ後は指摘するような無断使用事例はほとんどなくなったとのこと。今後は雑協事務局で事例を集約した上で、スポーツ紙に対しどのように説明するか検討するとのことだが、一応この問題は収束に向かう方向になりそうだ。
 それにしても今回の文化通信の一連の記事は読み応えがあった。文化通信自体が新聞だけでなく雑誌など出版業界、書店業界などもカバーしていることも無関係でないだろうが、取材や編集にいろいろ制約も多いであろう業界紙の中で、このように他紙があまり取り上げない(取り上げにくい)テーマに突っ込んできちんと取材しているのは好感が持てる。各社新サービスのリリース記事や重要人物へのインタビュー記事などももちろん必要だが、時にはこういう業界慣習に一石を投じるようなテーマも取り上げてほしいと思う。