edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞紙面上につぶやきをプラス socialAを3日間限定実施

朝日新聞社では、新聞週間の10月19日〜21日の3日間、新聞紙面イメージへの投稿とソーシャルを連動させた「socialA」を実施します。 
記者や有識者の方々のtwitterによるつぶやきを紙面イメージにプラス。作り手と読み手が、新たな情報や意見を付け加えることで、さらなる価値を生み出そうという試みです。次世代の新聞プラットフォームのあり方を探ります。
本企画では、読み手の代表として、企画に賛同いただいた有識者の方々に「socialA委員」として参加いただいています。
朝日新聞デジタル:socialA

 朝日新聞社は10月19日から21日までの3日間の紙面を対象に、パソコンとiPhoneiPadAndroidの端末で、紙面画像にツイッターのつぶやきを重ねて表示するという実験を行なっている。
 無料で公開されているSocialAのサイトに移動し、10月19日から21日までの朝刊を読む(またはアプリをダウンロードする)と、新聞の紙面が画像の形で表示され、紙面の上に点在する形でツイッターのユーザーアカウントを示すアイコン画像が重なる。アイコン画像をクリックすると、その記事(もしくは広告)に対するツイートが表示できるというもの。つまり、紙面に掲載された記事に対するリアクションや、執筆した記者・デスクによる追加情報ををデジタル上で一覧して見られるいうことだ。
 ただし今回は実験ということで、一般ユーザーのツイートは表示させず、朝日新聞社が選んだTwitterでの影響力を持つユーザーを中心とした「SocialA委員会」のメンバーと朝日新聞の部署や記者などの公式アカウントのツイートのみが表示される。このあたり「朝日の選んだ人のコメントしか掲載されずつまらない」「自由がない」という感想を持つ人もいるだろう。
 アクセスするといろんなツイートが自動的にチラチラ切り替わって表示されていくので、次々に様々な人のツイートが表示されることに賑やかさを感じる反面、「いったい何が起こっているのだろう」と理解するまでに若干時間がかかった。
   
 なお、パソコンで見るためには最新のブラウザが必要。パソコンだと強制的に見開き画面だったり、紙面を拡大表示させた時にツイートが表示されなくなったりするなど操作中戸惑いを感じることが多く、個人的にはiPhoneのアプリが反応も良く一番見やすかった。
 面白いのは記事だけでなく広告についてのツイートも掲載していること。広告部分をクリックすることで広告主のURLにジャンプするのは当然としても、広告に関するコメントも(当然、朝日が選んだユーザーのみだが)表示される。「新聞とソーシャルの融合です!」という営業トークとしては腹に落ちやすい。
 ソーシャルメディアへの積極的な参加を推し進める朝日新聞がネットユーザーに問うたこの企画。果たしてユーザーの反応はどうか。紙面にツイートを表示させ、新たな価値を付加するという基本コンセプトは明快だが、多くの人にとっては「アイコンやら情報が多すぎてよくわからない」だろうし、一家言ある人であれば「自由な発言を掲載しないなんてつまらない」という反応ではないだろうか。
 とはいえ、技術的にはかなりのものであることには間違いない。パソコン・iPhoneiPadAndroidを同時にリリースし、なおかつそれぞれのデバイスで表示に差がないように作り込んでいるのには相当な苦労があっただろう。日経を除けばこういったウェブサービスを提供できる技術力がある新聞社は国内では存在しない。技術レベルのショーケースとして見れば素晴らしい。
 また、見逃してはならないのは「socialA委員会」として参加したユーザーとの人脈だ。ソーシャルメディア上で一定の影響力を持つ人物が30人並んでいる。こういったユーザーたちが積極的に企画に加わってくれるというのは、朝日新聞がソーシャルメディアに対して継続的に真摯に向き合っていることの証明だろう。
 個人的には、せっかく紙面をそのままネット上に出すのであれば、こういった手の込んだ企画を世に問う前に、もう少しわかりやすく一般ウケしそうな企画で多くの人の耳目を惹きつけておいた方が良かったのではないだろうかと思う。例えば、パソコンやスマートフォンで表示された新聞紙面の中で、より多くのユーザーに注目された(拡大された)エリアや、多くの人にツイッター上で言及された記事部分が自動的に赤くなり、あまり注目されていないエリアは青くなるという、「新聞ヒートグラフ」のような。今回これだけのものを作った朝日の技術レベルなら、十分実現可能だと思うのだが。
(追記 2012/10/21 20:30)
 ITmediaのeBook Userに掲載された記事によると、iOSAndroid向けのビューアとしてはモリサワの「MCMagazine」の機能を利用。本や写真の特定の位置に直接つぶやくことができるTwitterとの連携部分は、美術出版ネットワークスの「bookpicモジュール」が使われているとのことだ。確かに美術出版ネットワークスの運営する電子雑誌・雑誌販売サイト「bookpic」を見ると、今回の朝日のsocialA同様、雑誌の紙面上にツイッターのアイコンが点在し、ユーザーからのツイートが読めるようになっていた。
[参考]⇒次世代の新聞プラットフォーム? 朝日新聞社が3日間限定で「socialA」公開 - eBook USER
[参考]⇒bookpic