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共同通信、記者会見全文速報サービス開始 朝日ニュースターのサービス代替

 一般社団法人共同通信社共同通信デジタルは4月1日から、閣僚や企業、業界団体など53種類の記者会見をテキストに全文書き起こし、電子メールで3時間以内に配信するサービス「会見全文速報」を開始した。
 共同通信デジタルの営業部によると、もともと同様のサービスは、CS放送のニュース専門チャンネル「朝日ニュースター」を運営していた衛星チャンネルが行なっていた。しかし昨年7月、CS放送事業をテレビ朝日に事業譲渡する(今年4月1日)ことを発表。衛星チャンネルの解散により会見配信サービスが終了することを知ったユーザーから、「共同通信でそういうサービスができないか」との問い合わせを受けたのがきっかけで、今回「会見全文速報」を始めることになったという。
 「会見全文速報」の基本料金は月額1万円。これに別途、会見の有無や回数にかかわらず会見メニューごとに月額利用料金が必要で、首相/官房長官会見の場合は月額2万円、東京電力やNTT東日本、NTT西日本の各社長の場合は同8000円、JR東日本社長や公取委事務総長は同6000円などとなっている。
(2012年4月16日付文化通信より)

 共同通信が閣僚や企業、業界団体や財界団体など53種類の記者会見を、終了から3時間以内に配信するサービスを4月1日に開始した。料金は基本料が月1万円で、会見の種類ごとに課金が発生する仕組みをとっている。
 対象となっている会見は、4月9日の発表された公式リリースによると以下の通り。お客は大企業の広報部門や経営企画部門、官庁や地方自治体、外郭団体の総務部門などが想定されている。今後も客のニーズを汲み取りながら会見の種類を増やしていく予定とのこと。

1.首相/官房長官 2.副総理/行政改革担当相 3.総務相 4.法務相 5.外務相 6.財務相
7.財務副大臣 8.文部科学相 9.厚生労働相 10.農林水産相 11.経済産業相 12.国土交通相 13.国土交通副大臣 14.国土交通大臣政務官 15.環境/原発事故担当相 16.防衛相
17.国家公安/消費者/拉致問題担当相 18.金融/郵政改革担当相
19.経済財政/国家戦略担当相 20.防災担当相 21.復興相 22.東京都知事 23.民主党幹事長 24.自民党総裁 25.自民党幹事長 26.公正取引委員会事務総長 27.日銀総裁
28.全銀協会長 29.地銀協会長 30.信託協会
31.生命保険協会会長/日本損害保険協会会長 32.日本証券業協会長 33.日本経団連会長 34.経済同友会代表幹事 35.日本商工会議所会頭/東京商工会議所会頭 36.日本郵政社長
37.東京電力社長 38.JR東日本社長 39.JR西日本社長 40.JR東海社長 41.JR貨物社長 42.NTT社長(ホールディングス)43.NTT東日本社長 44.NTT西日本社長
45.NTTドコモ社長 46.NTTコミュニケーションズ社長 47.NTTデータ社長 48.KDDI社長
49.ソフトバンク社長・4半期決算東証 50.ソフトバンク社長・4半期決算東証以外
51.情通審およびその各部会 52.電波監理審議会 53.情通審情報通信技術分科会 計53
[リリース]⇒共同通信が会見の全文書き起こし配信サービスを開始 | 共同通信PRワイヤー

 もちろん、閣僚の会見全文などは後日HPにアップされることは多いが、どうしても数日かかってしまったろ、要旨しか載せないことも多い。「3時間以内に全文配信」と明示することで、速報需要と記録性需要の両方に応える形となっている。同様な事例としては、産経新聞がMSN産経ニュース上の「法廷ライブ」コーナーで、世間の注目を集める裁判の一問一答を全文掲載しているが、こちらはどちらかというと一般ユーザーではなくビジネスユースを対象とした全文速報となる。
 こうしたサービスが普及してくると、会見に出席して記事をまとめる記者にとっては「どこを記事として切り出すのか」という判断がますます難しくなってくるだろう。行数の制限がある以上、どうしても発言のどこかにポイントを当て、その他の部分を切り捨てざるをえない。「なぜその部分をピックアップしたのか」について、きちんと説明できる論拠を持つことが必要となる。
 それにしても、朝日ニュースターがすでにこのような事業をやっていたことはこの文化通信の記事で初めて知った。調べたところ、元になったのは「速報!!記者会見」という番組のようだ。それが終了することを知ったユーザーの声に応える形で、共同通信が事業を始めたというのもなかなかイイ話である。公式リリースを元にしてシンプルに伝えるだけなく、その背景まで踏み込んだ良い記事だと思う。また、多くの人が知りたいであろう利用料金についてもきちんとフォローしているところも嬉しい。