edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経電子版、有料会員20万人突破 ユーザー1千万人モデル目指す

 「日本経済新聞 電子版」の有料会員数がこのほど20万人を超えました。2010年3月の創刊から2年、国内報道サイトでは初めてのことです。会員の間では紙、パソコン、携帯端末などを組み合わせて使う新聞の読み方が広がりつつあります。
 世界最大の有料報道サイトは100万人強の有料会員がいる米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版です。米ニューヨーク・タイムズ、英フィナンシャル・タイムズの電子版が続き、日経電子版がそれに次ぐ会員数になっています。
 有料会員は紙の朝刊・夕刊掲載記事と、それに匹敵する量の電子版オリジナルコンテンツの両方を自由に閲覧できます。パソコン向けウェブサイト、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けアプリ、米アップル製「iPad(アイパッド)」向けアプリなどもすべて使えます。有料会員のうち紙の日経新聞とセットで購読する読者が10万人を超えており、また約4割を部長以上の役職者が占めるなど、リーダー層に支持されています。
 無料登録会員を合わせた会員総数は135万人を超えました。スマホやタブレットの普及はこれからが本番です。日経電子版はコンテンツの強化とともに各種デバイス向けのサービスをさらに充実させ、読者の皆様のニーズに応えていきます。
日経電子版、有料会員20万人 創刊から2年で:日本経済新聞

 4月15日、日本経済新聞電子版の有料会員が20万人を超えたことが発表された。2010年3月23日の創刊から2年余りでの達成。10万人の達成が開始9カ月後の2010年12月10日であったから、その後も順調に会員を増やしていることがわかる。iPhoneiPadなど、様々な端末に一つのIDで対応していることが功を奏しているようだ。
 3月13日に行われた業界紙向けの決算説明会では、新聞販売収入が前年比1.1%減、広告収入が10.7%減と震災や円高、タイの洪水の影響で振るわない中、電子版の販売収入が前年比50.8%増であったと報告されている(3月14日付新聞情報による)。
 なお、3月30日に関東財務局に提出された有価証券報告書の「対処すべき課題」では、今後10年を展望する長期計画「最強のコンテンツ企業集団を目指す」の中期実行プランの1番目として、「電子版のサイト訪問者が月1600万人を超す現状を踏まえ、紙の読者300万人モデルからコンテンツ資産をフル稼働させる『ユーザー1000万人』の事業モデルへの転換」を進めていくことが表明されている。有料会員も増加させつつ、電子版サイトへの訪問者が月1600万人も確保できているというのはさすがだ。
 「紙の300万人モデルからユーザー1000万人モデルへ」というのはかなり強烈なメッセージだ。先日紹介した日経のウェブCM「彼女が日経をすすめてきた」がiPadアプリを全面に押し出す形であったように、もはや若い世代に対して紙を無理に読んでもらおうという気はさらさらないのだろう。「自分の好きな媒体でどうぞ読んでください」という姿勢と、無料記事も一定量確保しソーシャルメディアとの連携も進めていくことで、紙の読者以外もどんどんユーザーとして取り込んでいこうという意識を感じる。
 個人的に驚いたのが、「紙の日経新聞とセットで購読する読者が10万人を超えている」という部分。ここを裏返すと、電子版の単独比率もかなり多いということだ。紙代、インク代、印刷設備、配送コストや販売店マージンが要らない電子版は、時間が経過すればするほど収益性は向上する。この会員増加ペースが続けば、2013年度中には30万人突破もありえる。発行部数の1割を超えてこれば、「日経を読む」ということが紙もデジタルも同じ意味を持ってくるようになるのではないだろうか。