edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売、読者向け有料会員サービス「読売プレミアム」5月14日開始

 読売新聞社は、無料サイトでは読めない記事やバックナンバーを新聞購読者向けに提供する有料会員サービス「読売プレミアム」を2012年5月14日に開始する。新聞購読料に加えて月額会費157円を払い、専用サイトから利用する。
 Webサイト「ヨミウリ・オンライン(YOL)」には載っていない解説記事やコラム、特集・連載記事を収録。過去1年分の記事を検索できるほか、1000件までの記事を保存できる「スクラップブック」の機能を備える。
 iPhoneAndroidスマートフォンタブレット端末、パソコンから閲覧できる。また、スマートフォンの画面に同サービスの「特別会員証」を表示して提示すれば、提携施設の「よみうりランド」や、読売新聞社主催イベントなどで入場料割引が受けられる。
 2012年10月31日までは無料で試用可能。支払い方法は、各種クレジットカード、NTTドコモ「ドコモ ケータイ払い」、KDDIauかんたん決済」に対応する。
読売新聞社、購読者向け有料会員サービス「読売プレミアム」:PC Online

 昨年から業界で話題になっていた読売新聞の新しいデジタルメディアサービスが姿を表した。4月10日の読売新聞朝刊の1面社告で告知され、「読売プレミアム」という名称で5月14日からスタートする。すでに「http://yomipre.jp」というURLで予告サイトが立ち上がっており、オープン日までのカウントダウンを行なっている。
(左図:読売プレミアムスマートフォン版の画面)
 対応する端末はスマートフォンタブレット端末、パソコンで、従来型携帯電話は対象外のもよう。アプリではなくウェブブラウザ上でのサービスで、スマートフォン版には記事の一括ダウンロード機能も備えている。
 コンテンツとしては、無料のニュースサイト「ヨミウリ・オンライン」では掲載されていない解説記事やコラム、特集・連載記事を収録する。スクリーンショットを見る限りでは、3面に掲載の解説記事「スキャナー」や医療面の「医療ルネサンス」、識者に悩みを相談できる「人生案内」などが閲覧できるようだ。
 また、過去1年間分の記事検索もできる。朝日新聞デジタルでも同じく1年間の記事検索を提供しているが、実は両社とも過去25年以上の記事を検索できるデータベースを販売している(参考:朝日読売)。有料の利用者向けサービスならばもう検索期間を少し長くしてもいいのではないかとも思わないでもないが、既存のデータベース商品との競合を考慮したような感じだ。
 興味深いのは、「読者限定(つまり新聞を取っていない人は会員になることはできない)」にもかかわらず、決済方法をクレジットカードと携帯キャリア決済を指定していること。新聞購読料に加えて月額会費を払うのであれば、新聞代金と一緒に徴収できるのではという声もありそうだが、全国に6000店以上ある販売店に対し、一律に新しい業務を指示するというのが難しいという事情があるのだろう。有料課金開始まで半年間の期間があることから、その間に準備を進めていくつもりなのかもしれない。なお、読者確認については2006年6月に開始した会員サービス「ヨリモ」で既に実績がある。
 日経、朝日が電子版単独で4000円近く、併読でプラス1000円の値段を設定し、「電子新聞」という位置づけで商品展開を行なっているのに対し、今回の読売の位置づけは新聞読者のみでプラス150円と、月々の新聞購読料に少し足すことでプラスアルファのサービスを提供するというスタンスだ。紙の読者を維持していくために、デジタルを利用して新しいサービスを提供するという意図が伝わってくる。とはいえ、先行社に対するアピールとして数字で勝つための「押し紙」ならぬ「押しデジタル」は勘弁してほしいが…。