edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞デジタルPC版がリニューアル 旧アサヒ・コムとの統合進む

 朝日新聞デジタルは2012年4月1日に、パソコン版をリニューアルしました。
 より素早く記事にアクセスできるようデザインを変更するほか、速報ニュースを配信する24時刊では記事の見出しをリスト表示し一覧性を高めるなど、より見やすく、使いやすく生まれ変わりました。
2012年4月1日朝日新聞デジタルPC版をリニューアル


 1月23日にアサヒ・コムとのブランド名統合を果たした朝日新聞デジタルが、4月1日にリニューアルした。今回のリニューアルは、統合後も続いていた旧アサヒ・コム(www.asahi.com)と旧朝日新聞デジタル(ditital.asahi.com)のトップページを2つを統合し、旧アサヒ・コム(www.asahi.com)のトップページを名実と共に朝日新聞デジタルのトップページとして位置づけた。これによりグローバルナビゲーションメニューも統一。1月ブランド名統合の時点で一部起きていたナビゲーション上の不整合もある程度解消されたようだ。
 ただ、無料で見られるコンテンツについてはそれほど絞ったという印象はない。見出しにプラスマーク(+)を付加した記事は途中で「続きを読むためには有料契約を」という表示が出るが、おおよその内容は把握できる。日経電子版が200文字程度で強制的に切ってしまっているのと比べれば差は大きい。また、「購読者限定動画」や、紙面で連載している「プロメテウスの罠」「アイタイキモチ」といった連載を購読者限定コンテンツとしてトップページからリンクしているが、わりと控えめな形で扱っている。これまでのアサヒ・コムに慣れ親しんだユーザーもなるべく違和感なく使えるような構造に腐心したように感じた。
 「有料の朝日新聞デジタルを契約しなくても、無料で見られるアサヒ・コムで十分」という声に応える形で始まったと思われる1月からの一連の動きだが、蓋を開けてみたら統合はされたがそれほど無料で読める記事は変わらない、というところに現状落ち着いている。これはもちろんウェブ広告収入を無視できないという事情もあるのだろうが、そもそもより多くの人に読まれなければマスメディアとしての存在意義の否定につながってしまうというジレンマも大きいのだろう。記者個人や支局・部署単位のツイッターアカウントを推進していることは、そもそも無料での情報発信を続けていくことに他ならない。
 いつの間にか「ツイッターで話題の記事」「フェイスブックで話題の記事」といった、リツイート件数やシェア件数のランキングもサイト上に掲載しており、ソーシャルメディアからの誘導を意識している一方、有料購読者へのサービスは「地域版紙面イメージ」や「GLOBE電子版」が加わった程度。日経がPCやiPadアプリで紙面を惜しげもなく提供し、「紙でもPCでもiPadでも自由に紙面を読んでください」としているのと比べれば大きな差がある。
 あと気になったのが「24時刊」を全面に押し出した速報重視のページ構成。確かに刻々と変わっていくニュースを締め切りに縛られず配信していくことは紙面ではできないことであり、デジタル時代の報道機関に必要なことは間違いない。だがそれだけでは毎日や産経、ヤフーニュースといった無料サイトとの差別化は難しいのではないだろうか。サイトの顔であるトップページが速報ニュースに偏り過ぎ、朝日として今何を伝えたいのか、何を訴えたいのかといった主張が見えないところが気になった。