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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

ソーシャルメディアでも「公開」「個性」「共感」重視を 毎日の社内研修会 

 毎日新聞社はこのほど、普及が進むツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディアの活用について考える研修会を開催した。今後の新聞メディアには読者との双方向性が不可欠であるとの考えから、その積極的な活用事例などを社員で共有した。3月には大阪本社、福岡本部でも開き、さらに議論を深めていく。
 東京本社では2月14日と20日に計3回開かれた。冒頭、小川一・コンテンツ事業本部次長が「なぜ今ソーシャルメディアか」を説明。毎日新聞の報道の特徴は「公開」「個性」「共感」にあるとの認識を示した。1976年開始の「記者の目」や96年の「記事の原則署名化」(個性)、89年の「容疑者呼称」の採用、(共感)、00年の「『開かれた新聞』委員会」の設立」(公開)など、他社に先駆けた報道改革の延長線上にあるのが、「公開」「個性」「共感」から成立するソーシャルメディアだと提起。また、不用意なネットへの書き込みで問題になった事件を例に、実際に活用する際の心構えについて具体的に説明した。
 続いて、運動部の百留康隆記者がフェイスブックの活用法について報告。運動部ではフェイスブックの機能を使ってスポーツ選手への連絡や取材を行なっているほか、部内の出稿連絡や取材予定の共有も進めている。
 生活報道部の戸島誠司記者は正月の連載企画「リアル30'働いてる?」でツイッターを活用した読者とのやり取りを説明。2週間でフォロワーは3000人を突破、4400人を超えた現在も活発な意見交換を続けている。戸島記者は、「最大の収穫は、記事への反応を多数の読者と同時に、目に見える形で共有できたこと。これまではメールやファクスで受け取るしかなかった。紙面とはまったく異なる双方向ルートが生まれ、読者同士のやりとりから新たなヒントを得ることもできた」と長所を説明した。
 (2012年3月5日付文化通信から)

 今年2月より、毎日新聞がツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディアの活用を積極的に推進するようになってきた。オウム報道などの事件取材を長く続け、社会部長も務めた小川一氏が2月2日にツイッター上でこれまで匿名だったアカウントを実名化。記者コラム「記者の目」に「ソーシャルメディアと新聞」と題した記事を掲載し、「マスとソーシャル、二つのメディアが今後、力を合わせれば、社会はさらによりよい情報を受け取れると思う」と決意を表明した(参考)。
 その後2月14日と20日に東京本社で、3月6日に大阪本社で研修会を開催。東京本社での研修会には計550人が参加したとのこと。研修会の内容は以下の記事に簡単にまとまっている。運動部でフェイスブックのグループ機能を利用し、メールと併用して取材連絡とともに情報共有しているとは面白い事例。確かにPC・スマホ・携帯で見ることができ、全世界で情報を共有できるツールとしてのフェイスブックの特徴は有効だろう。また、同業他社の動向なども取材し記事化されている。
[該当記事]⇒「公開」「個性」「共感」重視して運用を 毎日新聞各本社で研究会 - 毎日jp
[他社動向]⇒大震災きっかけに、双方向に強み発揮 活用法の模索続く - 毎日jp
 小川氏のツイッターアカウント(@pinpinkiri)は自分もフォローしているが、自社の記事の紹介やソーシャルメディア研修会の内容の報告だけでなく、他社の記事も良い記事があれば積極的に紹介している。特に、ネットには載らない記事、載っていたとしても埋もれがちな記事を紹介してもらえるのはありがたい。ネットだけでなく紙も目を通している人ならではの視点が発揮されている。
 朝日新聞はウェブサイト上で「つぶやく記者」を紹介し(2012/3/10時点で25名)、記者個人の実名アカウントの公式化を推進している。ジャーナリストの藤代裕之氏はこれを「『個人」による競争の幕開け」と評した。海の向こうではワシントン・ポストが記者や編集者個人のフェイスブックの購読数(ツイッターのフォロワー数のようなもの)を一覧できるページを公開。記者・編集者単位の購読者が一桁から20万近くまで人気が一目瞭然となった。
 毎日新聞のインターネットに対する報道姿勢はここ数年大きく揺れ動いてきた。2007年の新年企画「ネット君臨」でネットの負の部分を大きく取り上げてユーザーから反発を食らい、2008年の「毎日デイリーニューズWaiwaiニュース問題」では対応の稚拙さもあって猛烈な非難を浴びた。その後、Twitterと連動する新媒体「Mainichi RT」の創刊を経て、ようやくこの「ソーシャルメディア宣言」でインターネットに正面から向き合う準備が整ったように感じる。